ラブホスタッフ上野の恋愛相談〜ワガママを言いたくないというワガママ〜
ご相談内容
私は今まで2人の男性と付き合ったのですが、2人とも別れる直前には私ではない人を好きになってしまいました。
もちろん最初から遊びと言う訳ではなく、真剣にお付き合いをしていたのに1人には浮気をされ、もう1人には好きな人が出来たからと別れを切り出されました。
こうなってしまう原因として自分では嫉妬深いのに甘えるのが下手で、気持ちを言葉にも出来ず身を引いてしまうからだと考えています。
共通の友人から聞いた話では、1人目は私に嫌われた、2人目は全然甘えてくれないとそれぞれ思っていたようです。
私は『甘える=ワガママ』なような気がして、友人には甘えられるのに恋人には甘えることを躊躇してしまいます。
そしてその結果他の女の子に取られてしまうのでどうにかしたいです。
私は何から始めたらいいでしょうか?
ラブホスタッフ上野の回答
ご質問誠に有難う御座います。
「猿の手」をご存知でしょうか?
最近だと化物語の中で取り上げられたことで有名になりましたが、猿の手とはイギリスのジェイコブズが1902年に発表した小説で御座います。
小説の詳しい内容な省きますが、猿の手とはこの小説の中で登場する「使用者の願いを3つだけ叶えてくれるミイラ」のこと。
ただし、ただ人の願いを叶えてくれるような都合の良い道具では御座いません。
猿の手に願いをかけた者は、その願いが叶う代わりに大きな代償を支払わなくてはならないのです。
このことから猿の手は「使用者の願いを使用者が望まぬ形で叶える道具」として知られるようになりました※1。
例えば「世界一の金持ちになりたい」と願ったら、自分の所持金が増えるのではなく自分以外の人間の所持金が自分以下になったり。
例えば「次の大会で優勝したい」と願ったら、自分以外の参加者が全員死んでしまったり。
もちろん私は猿の手など持ち合わせておりませんが、今回のご質問に対して素直に「ワガママを言う方法」を教えてしまったら、私自身が猿の手になってしまうような気がしてなりません。
※1:ただし原作ではそのようなことはなく、単純に膨大な代償を奪われるだけ
何が知りたいのか見えてこない
今回のご質問文を読んで、私は最初「ワガママを言う方法」を書かせて頂こうと思いました。
しかし、ご質問文を何度も読み返しているうちにご質問者様の真の願いはそこには無いのではないかと感じました。
特に気になったのは
「2人とも別れる直前には私ではない人を好きになってしまいました」と
「その結果他の女の子に取られてしまうのでどうにかしたいです」
の2つの部分。
もちろん仰っている意味は分かるのですが、この2つの文章をご質問者様が書いた理由を考えるとご質問者様の真の願いが別のところにあるような気がしてなりません。
そもそも人が別れる原因なんて「他に好きな人ができた」と「恋人のことが嫌いになった」の2つくらいしかないのですから、恋人に好きな人ができて振られることは珍しいことではないでしょう。
そしてこの2つの理由は事実上ほぼ同じものと言っても過言ではありません。
「他に好きな人ができた」というのは
「相対的に今の彼女のことが嫌いになった」ということですし、
「恋人のことが嫌いになった」というのは
「相対的に他の人のことが好きになった」というようなものなのです。
ですのでわざわざこんなことを書かなくても「2回とも私がワガママを言わないせいで振られた」と書けば十分に話の内容は伝わったことでしょう。
しかしご質問者様は2度もこの言葉を書いたのです。
このことからご質問者様は「別の女に取られた」というところに深い執着をしているように感じました。
そもそもこのご質問文を読んでみると、2人の元カレへの執着心が一切感じられません。
ご質問内容も次の彼氏と同じ失敗をしないためにはどうしたらいいかというものであり、2人の元カレと寄りを戻したい的な感情が全く見受けられないのです。
それが悪いことだとは言いませんが、振られた人間は大抵執着心を残すものなので少々違和感を覚えました。
またご質問文には「次の恋人との関係を円満にしたい」とか「長続きさせたい」とか「振られないようにしたい」というような内容がなく
「他の女に取られるという展開を防ぎたい」という願いが書かれているのです。
もちろん言っている内容としてはほとんど同じ内容ではあるのですが、あまり使われない方の言い回しを使ったということはそこにご質問者様の本心が隠されているような気がしてなりません。
それではここにご質問者様の本心が隠されているとしたら、ご質問者様の本心とは一体なんでしょうか?
それは「仲のいいカップルになりたい」という願いではなく
「他の女に取られたくない」という束縛欲なのではないでしょうか?
因果が逆転している
「仲のいいカップルになりたい」と「他の女に取られたくない」という願いは相反するものでは御座いません。
「仲のいいカップルになりたい」と願っていれば「取られたくない」と思うことでしょうし、「取られたくない」と願っていれば「仲の良い関係になりたい」と思うものでしょう。
しかし、その因果関係は重要で御座います。
「仲のいい関係になりたいから取られたくない」という因果関係なのか、
それとも「取られたくないから仲のいい関係になりたい」という因果関係なのか。
同じように見えますが、この2つの願いはその叶え方が全く異なるのです。
例えば「仲のいい関係になりたいから取られたくない」と思っている場合「取られたくない」という部分が手段になるでしょう。
そのため現実的には少々困難かもしれませんが、彼が浮気をしていたとしてもこの願いは叶えることができるのです。
一方で「取られたくないから仲のいい関係になりたい」という因果関係の場合、手段は「仲のいい関係」になるでしょう。
ですので彼を取られることさえなければ、彼と仲良くなる必要すらありません。
極端な話をすれば、彼を地下牢に監禁したり、彼を殺したりするなんていうヤンデレサイコ染みた方法でもその願いは叶うのです。
まさに猿の手的な話でしょう。
「彼が他の女のこと見ないようにしたい!」と願ったら、猿の手が彼の目を潰したなんていう小説でも書けそうな話で御座います。
さて、それではご質問者様はどちらの願いを抱えているのでしょうか?
女性が「(仲のいい関係になりたいから)取られたくない」と願った時に、彼の命を奪うことでその願いを達成するのが猿の手で御座います。
しかし「(取られたくないから)仲のいい関係になりたい」と願った女性に、彼と仲良くなる方法を教えることもまたある意味では猿の手でしょう。
ですのでもしもご質問者様が後者の願いを抱えているのであれば、彼と仲良くなる方法を教えた私はある意味で猿の手になってしまうのです。
私の推測が当たっているのであれば、1人目の彼氏はご質問者様のことを正しく見抜いていたと言えるかもしれません。
大変失礼ながら私はご質問者様が2人の彼氏を好いていたと思えないのです。
取られたくないだけなら簡単
もしもご質問者様の願いが「他の女に取られたくない」というものであるのなら、その願いを叶えるのは簡単なことでしょう。誰でもすぐに出来る方法が2つ思いつきます。
1つ目の方法はそもそも誰とも付き合わないということ。
そもそも彼氏がいなければ誰かに奪われることも御座いません。「他の女に取られたくない」という願いを叶えるのであれば、これ以上のものはないでしょう。
2つ目の方法は他の女性が狙わないような非モテ男と付き合うこと。
他の女性が誰も狙わないような非モテ男性と付き合えば、他の女に取られる可能性は極限まで下げることが出来るでしょう。
「他の女に取られたくない」という願いを叶えるだけであれば、この2つの方法のいずれかで願いは叶います。
これは猿の手のような意味ではなく、その願いを叶える方法としては間違いなく最適なものでしょう。
おそらく今この文章をお読みの方の多くは「そんな言葉遊びのような解決策でどうする!」とお思いのことと思いますが、
もしもご質問者様の願いが「他の女に取られるという経験をしたくない」というものであったのならば、この方法こそが間違いなく最適なのです。
多くの方は「仲が良い関係を継続したいから、他の女に取られたくない」と願っているので感覚的に納得できないことと思いますが、その因果が逆の方にはこの答え以上の正解を私は導くことができません。
本心を言うのが怖くて仕方がない
今回のご質問者様は「他の女に取られたくない」という願いが強い方だと思うのですが、だからと言って先ほどの回答に納得できるものではないでしょう。
逆にもしもあの回答に納得ができ実行に移そうと思ったのであれば、ご質問者様は「他の女に取られたくない」という願いだけしか持っていない可能性が高いので、甘える方法なんて学ぶ必要が御座いません。
監禁などの犯罪にならない方法で「他の女に取られたくない」という願いを叶えていただければ幸いです。
しかし、もしもあの回答に納得できないのであれば、ご質問者様は
「他の女に取られたくない」という願いよりも
「仲の良いカップルになりたい」という願いの方が強く持っていることでしょう。
それでは何故、今回のご質問文にはその気持ちが書かれていないばかりか、あたかも「取られたくない」という願いの方が強いかのような内容になってしまっていたのでしょうか?
どうにも私には今回のご質問文こそがご質問者様の本心を象徴したもののような気がしてなりません。
今回のご質問文にはかなり丁寧に「振られた理由」が書かれておりますが、ご質問文の中に「甘えられるようになりたい」とか「甘えるにはどうしたら良いですか?」という一言がどこにも書いていないのです。
しかしここまで正確に振られた理由を分析しているのですから、甘えられるようになった方いいことくらいご質問者様は理解されていることでしょう。
そして私に対して「甘える方法」を聞いた方が良かったこともご理解されていたことと思います。
それではなぜ「甘えられるようになるためにはどうしたらいいか」という一文が存在しないのか?
それはおそらく私が他人だからでしょう。
ご質問者様は甘えられない人間なのではなく、まだあまり親しくない人に本心を言うのが怖い人間なのではないでしょうか?
本心なんて言わなくていい
今回のご質問文はかなり違和感のあるご質問文で御座いました。
元カレへの執着心もなければ、具体的な質問内容もない。
その割には自己分析は詳しくされており、何故か「他の女に取られたくない」という部分は強調されている。
しかし、ご質問者様が「極度に本心を言うことを恐れる人間である」と仮定すると、この違和感は納得が出来ました。ご質問者様はその恐怖からご質問文ですら本心を語ることが出来なかったのです。
嫉妬深いのに身を引いてしまったのも、嫉妬深いという本心を見せることが怖かったからでしょう。
元カレたちに甘えることが出来なかったのも、自分のワガママという本心を見せることが怖かったからでしょう。
ご質問文に「他の女に取られたくない」と書いたのも、「彼に甘えて仲良くなりたい」という本心を見せることが怖かったからではないでしょうか?
それではこれらのことを踏まえた上で、ご質問者様が今なすべきことをお話しさせていただきます。
ご友人様には甘えることが出来るのですから、ご質問者様は本質的に甘えることが出来ないわけではないでしょう。
ご質問者様は甘えることが出来ないのではなく、まだそこまで親しくない人、もっと言えば信用できない人に自分の本心を見せるのが怖い人なのです。
彼氏のことが信用できないと言うと少々語弊があるかもしれませんので
「男性をよく分からない生き物と捉えている」
くらいに考えていると言った方が良いかもしれません。
いずれにしても「自分の本心」を見せてしまったら、男性に嫌われてしまうのではないかという不安がご質問者様の中にはあるのです。
それならばご質問者様が今すべきことは「男性という生き物」を理解するということになるでしょう。
とは言え、何も男性の全てを理解しろとは言いません。私だって男性の全てを理解している訳でもありませんし、そもそもそんなことは不可能でしょう。
今回ご質問者様が理解すべきことは「人間は頼られると嬉しい生き物である」ということだけで御座います。
こんなことはご質問者様も重々理解されていることと思いますが、彼氏相手だとそれを信じることができず本心を見せることが出来なくなってしまっているのでしょう。
ここで「大丈夫、男は頼られると喜ぶから」と言うのは簡単で御座いますが、そんな言葉でご質問者様が納得されるのであれば苦労はいたしません。
ご質問者様がこの言葉を信じるためには実際にそれを経験しなければならないのです。
それでは一体どうすれば良いのでしょうか?
幸いにして、ご質問者様は「甘える」ということ自体はそこまで苦手としておりません。ご質問者様が苦手としているのは本心を見せることであり、甘えるということではないのです。
それならば本心を見せずに男性に甘えてみれば良いでしょう。
例えば自分で交換できる電球の交換を頼んだり。
例えば自分で開けられる缶を開けて貰ったり。
そういった「本心ではない願い」であれば、本心を見せるのが怖いご質問者様でも出来るのです。
最初から自分の本当の願いを言って甘えるのは怖いでしょう。
しかしこういった微妙なお願いで甘える経験を積んでいけば、男性が頼まれると喜ぶ生き物であるという言葉を実感し納得することが出来ることと思います。
そしてこういった経験を積み「甘えると喜ぶ」ということを理解できれば、いつの日か本当の願いについても甘えることが出来るようになることでしょう。
執筆者:ラブホスタッフ上野
都内某所のラブホスタッフ。
ツイッターで「ラブホテルに女性を誘う方法」を紹介していたこと
「ラブホの上野さん」(原案:上野・作画:博士 株式会社KADOKAWA〈MFコミックス フラッパーシリーズ〉)の原作を務める。
現在では自身のホームページやツイッターなどで活躍中。
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