事実婚と同棲の違いと事実婚のメリット・デメリットを弁護士に訊いた
同性婚を筆頭に様々な結婚の形が生まれている今、籍を入れない「 事実婚 」を選択するカップルもいます。
二人が愛し合っていればいい、形にこだわりたくないという2人にとっては最良の選択ですが、まだまだ一般的ではありません。
そこで今回、「事実婚」についてのアンケートから男女の意識を探っていきます。
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「事実婚」に寛容なのは3割もいた……
エキサイト株式会社が、恋人がいない婚活中の男女625名に「籍を入れない事実婚について、あなたはどう考えますか?」と質問したところ、全体の3割が事実婚に寛容だったという調査結果がありました。
「保障とか制度とかで不安はあるけど、本人が良いなら」(女性/32才)
「自分としては籍を入れない結婚はしたくないが、他の人は再婚とか子供がいたりとかで仕方ない場合もあると思うので」(女性/21才)
「大切なのはお互いの気持ちや暮らし方、形ばかりにとらわれないことだと思う」(男性/37才)
「法的なことがからんでくるので、若いときは考えられなかったけど、年と共にどーでもよくなっていってます。こだわるところはそこじゃないかな」(男性/42才)。
「子供がいないならいいと思う」(女性/39才)、
「離婚歴があるので……」(女性/38才)
「人それぞれ幸せのかたちはちがうんじゃないでしょうか」(女性/41才)。
こちらの回答をした女性には、結婚歴がある人が多いようです。
男女ともに事実婚への抵抗感が弱まっており、特に女性にその傾向が見られるようです。
籍を入れることで得られる恩恵、縛られる条件などあるでしょうが、結婚に対する考え方はこれからも広がっていくかもしれませんね。
事実婚と同棲の違いって何?
事実婚とは別に、結婚前のカップルが同棲する場合はよくあります。
一説には、結婚前に同棲してしまうと結婚することなく、けじめのつかない交際期間が続いてしまう……なんてこともいわれています。
では、事実婚と同棲の違いは何なのでしょうか。
まず、事実婚とは法律の拘束力が働くことが言えます。
事実婚(じじつこん)とは、婚姻事実関係一般を意味する概念。「事実婚」の概念は多義的に用いられ、婚姻の成立方式としての「事実婚」は「無式婚」ともいい要式婚(形式婚)と対置される概念であるが、通常、日本では「事実婚」は法律婚(届出婚)に対する概念として用いられている。Wikipedia引用
事実婚(内縁関係)で発生する法律上の権利・義務
- 日常家事の債務責任
- 同居に対する協力する義務
- お互いに貞操を守る義務
- 夫婦別産制(婚姻状態でも同じ)
- 帰属不明財産の共有推定(同上)
- 財産分与および慰謝料請求権
これらの権利義務は単なる同棲関係のだけでは状態とは異なります。
結婚していないカップルが交わす「婚前契約書」って何?
もし、事実婚の状態に不安だったら、結婚する前に契約書を交わすという方法もあります。
これはいわゆる『婚前契約書』といって、海外ではプリナップとも呼ばれます。
ハリウッドセレブや海外の富裕層の間ではもはや常識ともいえる「婚前契約」。
日本でもSILVAさんや遠野なぎ子さん、最近では大渕弁護士などで以前話題になりました。
例えば、ハリウッドスターのトム・クルーズとケイティ・ホームズは、『結婚11年以内に離婚したら、慰謝料としてトムがケイティに結婚年数×300万ドル払う』と契約。
実際は5年で離婚をしてしまったので、1,500万ドルを支払ったそうです。
日本では再婚した歌手のSILVAさんが、外での飲酒は週2回までなんて約束をしているそうです。
結婚前に離婚について約束するなんて……何だがとても複雑です。
「婚前契約」の結び方
最近「婚前契約」をするカップルが増えているそうですが、実際どのように結べばいいのでしょうか?
弁護士法人アディーレ法律事務所の所属弁護士、正木裕美先生に話を伺いました。
「日本の法律では、夫婦財産契約の決まりがあるだけなので、内容は原則自由に決められます。
一般的なのは、財産や生活費をどうするか、結婚中の家事・育児・介護などの分担方法、離婚時の慰謝料や財産分与といった事項です」
事務的な内容が多くなるのですか?
「そんなことはありません。堅い内容に限らず、『結婚して子どもが生まれても名前で呼んでね』とか『月1回は夫婦水入らずでデートしよう』なんて甘~い約束でもかまわないのですよ。
どんな内容にしろ、法律上、結婚後に夫婦がした約束は夫婦関係が破綻していない限りいつでも取消しできるとされているので、結婚前に契約するのがポイントです」
「婚前契約」のメリット、罰則
「婚前契約」を結ぶべきカップルはいるのでしょうか?
「どちらかが資産家だったり、国際結婚、事実婚とも言われる内縁や再婚、熟年婚などの場合は、メリットが大きいでしょう。また、夫婦を取り巻く利害関係人が多いケースでも、トラブル防止に役立ちます。
また、円満なカップルにもメリットがあります。万が一離婚となると、それまでの信頼関係がガラガラと崩れ、財産分与などで激しくモメることも少なくないからです。円満な関係の時だからこそ、何がベストか冷静に判断することができますから、もしもの時は満足のいく離婚に近づくこともできます」
もし契約を破ったら、何か処罰はあるのですか?
「このような『婚前契約』もやはり契約なので、守らなければいけないのが原則です。ただし、普通の契約と同じように、公序良俗に反する内容や相続など法律の制度に反する内容は無効です。例えば、浮気したら1億円払いますとか、先妻の子には相続させないなんて約束をすると無効になってしまいかねません」
事実婚状態から見事結婚!同棲にまつわるエピソード
事実婚のような状態から、見事ゴールインした女性たちに話を聞いてみました。
「半年以内に籍を入れる、1年後に結婚式をするなど、あらかじめスケジュールを決めておくのがおすすめです。その準備期間の間に同棲をすれば、残念な結果にはならないと思いますよ」(32歳/コンサル)
「一緒に住みたいから同棲しよう」という軽いノリではなく、「結婚をしたいからその前に同棲をしよう」と、きちんと話し合った上で同棲を開始することが大事です。
また「同棲するなら近い将来結婚したい」と、彼へ明確に伝えておくのもひとつの手。そこでひるむような男性なら、結婚はもちろん、同棲する必要すらない相手です。
「うちでは同棲前にお互いの親のところへ、挨拶をしに行きました。結婚することが決まっていて、周りにも認知された状態にしておけば、そう簡単に別れられないですよね」(29歳/IT)
親や親戚を巻き込んで、同棲に至るのも良い方法です。そのまま結婚につなげたい場合は、挨拶に出向くのが一番。中には双方の親から「同棲するなら結婚しなさい」と言われたというケースも。親って強い!
「6年も同棲していて事実婚のような状態でした。ホント慣れすぎて妙な安心感を持たれたりして、『結婚しなくてもよくない?』なんて言われるのはイヤでした。決意をして彼に結婚を迫り、しぶしぶ結婚できました。周りの友人に助けられました。」(33歳/メーカー)
一緒に過ごす時間が長くなるため、単に付き合っているときよりも、緊張感がなくなりやすい点が、同棲の怖いところでもあります。いい意味での緊張感をキープして、悪い意味での「慣れ」や「マンネリ」とは決別して。
「何でもかんでもやってあげないことですかね。彼を子ども扱いしたり、すべてやってあげたりする人もいますが、彼にとって“お母さん”みたいな存在になるのは絶対よくないです。家事も適度に分担して、その後の結婚生活をきちんとイメージさせないとダメ」(29歳/編集)
確かに「お母さん」化した彼女は、もはや彼女ではないかも……。
単に甘えられるだけです。彼に与えるべきイメージは「女性」かつ「妻」。決して「お母さん」化しないよう、心に留めておきましょう。
相手の価値観や生活習慣、思考を近くで深く見られるのが、結婚前同棲のメリット。
それが思わぬ方向へと進み、残念な結果とならないよう注意が必要です。