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弁護士が解説!ドラマでよく見る「結婚式当日の花嫁逃亡」は法律的にOK?

逃げる花嫁

花婿ではない素敵な男性が花嫁を奪いに来て……というのはよくある映画の名場面。観客にとっては感動的なシーンですが、現実に「 花嫁逃亡 」が起きたらどうなってしまうのでしょうか。そこで今回は、実際に結婚式当日の 花嫁逃亡 は法律的にOKであるかどうかを弁護士の正木裕美先生に聞いてみました。

注意! 花嫁逃亡 には「損害賠償」が発生!

まず、花嫁が逃亡するということは、法律的に問題があるのでしょうか?

「花嫁が結婚したくなくて自分で式場から逃亡しただけなら、関係者や参列者には多大な迷惑を与えますが、罪にはなりません。

しかし、もし他の男性が花嫁を奪いにきて花嫁が同意して逃亡した場合、男性には建造物侵入罪が成立する可能性がありますし、逃げる時に物を壊せば器物損壊罪にもなりえます」

では、無理矢理連れ去られるとどうなるのでしょうか?

「花嫁が無理矢理連れて行かれた場合、奪い去った男性には結婚目的略取・誘拐罪や逮捕監禁罪などが成立しますし、花婿や家族が放っておくことはないでしょうから、罪に問われる可能性大です」

 その場合、損害賠償は発生するのでしょうか?

「花嫁が結婚式当日に逃亡するということは、結婚式をキャンセルすること。新郎新婦が挙式の前に入籍をしてしまっているかどうかで、話が変わってきます」

仮に入籍していた場合は?

「逃亡に同意をしていない花嫁が無理矢理さらわれて結婚式がパーになったのなら、奪った男性に対して費やした費用や中止で被った損害、慰謝料等を請求できます。

しかし、花嫁が同意して男性と逃亡したのなら、おそらく離婚になるでしょう。協議離婚でも済みそうですが、もし彼からの離婚請求をするとすれば、離婚の理由は他の男性との肉体関係を持ったこと(不貞行為)や婚姻を継続しがたい重大な事由になりそうです。

裁判例では、夫が入籍前から他の女性と肉体関係を持っていたことが結婚直後にバレてまもなく協議離婚したケースで、婚約中の不貞を理由に、慰謝料だけでなく新婚生活のために費やした費用、結婚式の費用の賠償を認めたものがあります(佐賀地判平成25年2月14日)。

今回も、花嫁と男性との関係によるものの、事前に知っていれば結婚も挙式もしなかったでしょうから、慰謝料のほか、結婚式の中止等で被った損害も請求できる可能性があります」

では、入籍していなかった場合は?

「法律上、結婚式を挙げたかどうかにかかわらず、入籍をまだしていないのであれば、この場合婚約関係にあると言えます。

正当な理由もなく、花嫁が一方的に婚約を破棄することは許されません。そのような不当な婚約破棄をすると、花婿から慰謝料や結婚式に向けて費やした費用、中止によって被った損害等を損害賠償請求されてしまうでしょう。

慰謝料の金額は、破棄の理由によるものの、例え結婚式前日だったとしても、ちゃんと話し合った場合と式当日に突然逃亡した場合を比べると、後者の方が悪質であり辛い状況になりますから、高額になると思われます」

式場や招待客……迷惑だらけ!?

 その他に想定される問題は?

「まずは式場との関係です。当日キャンセルは100%の料金のことが多いでしょうが、高額なキャンセル料のほか、レンタルドレスを着て逃げればドレス代相当額や逃亡時に壊した物の賠償など、式場が被った損害を賠償しなければいけません。

それ以上に、時間を割いて集まってくれた大切な友人や家族などの参列者にも大きな迷惑を掛けることになります。招待客との関係では、結婚式のために遣う洋服代やセット代などは実費なのが通常で、不法行為とならない限り賠償責任は負わないと考えられるものの、通常は、謝罪やお詫びの品の送付があったりします。とはいえ、招待された方は今後の花嫁との付き合い方をよくよく考え直した方がよいかもしれませんね」

現実に結婚式を急に中止にすることは、法的な問題もありますが、花嫁、花婿やその関係者全員にとってマイナスが大きい非常識な行為。今後の人間関係にも多大な影響を及ぼすことも必至です。現実は、映画やドラマのようにうまくいかないのかもしれませんね。

【正木裕美・プロフィール】

弁護士法人アディーレ法律事務所・所属弁護士(愛知県弁護士会所属)。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。2012年には衆議院選挙に愛知7区より日本未来の党の公認候補として出馬し、「衆院選候補者ナンバーワン美人」とインターネットや夕刊紙で大きな話題を呼んだ。現在は弁護士として、ストーカー被害、結婚詐欺やDVなどの男女トラブル、パワハラ・セクハラ問題まで、幅広い案件を扱っている。

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編集部
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