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弁護士が解説!「結婚しよう」と言った彼が既婚だったらどうする?

ケンカ中のカップル

長く交際をしている彼に「いつか 結婚しよう 」と言われたのに、彼は既婚者だった……このショックは計り知れません。最近は、婚活やSNS等でも騙されるケースが増えているようです。

そこで今回、弁護士の正木裕美先生に独身を偽っていた既婚者からの「 結婚しよう 」の約束は「婚約」になるのか聞いてみました。自分は大丈夫!とタカをくくらず、どうすればよいか知っておきましょう。

「いつか 結婚しよう 」は「婚約」じゃない!?

―――そもそも「婚約」の定義は?

「将来夫婦になろう」という約束を「婚約」と言います。婚約は口約束でも成立する契約で、特に形式等は定められていません。

しかし、ラブラブ期にありがちな「いつか結婚しよう!」というような会話ではなく、将来夫婦になろうという真摯な合意をすることが必要です。

―――「婚約」で起きるトラブルには、どんなものがありますか?

婚約の成否が問題になるのは「婚約破棄」がからむ問題が多いですね。別れて男女関係がこじれてしまうと、男性が婚約を認めず、婚約の成立自体が争われてしまうこともあります。

―――相手と「婚約」したかどうかは、何で判断できますか?

通常、裁判での婚約成否の判断は、本人同士の言葉だけでなく、両親への紹介、結納、婚約指輪の授受、結婚式場予約など、婚約を示す外形的事実もあわせて慎重に行われます。

もっとも、裁判例では当事者が両親や兄弟に婚約の事実を打ち明けたり、結納や同棲はなかったものの、夫婦としての共同生活を営む意思をもって、長い期間肉体関係を継続したりしていたことから婚約の成立を認めたケースも。ケースバイケースの判断になります。

―――では、既婚者からの「婚約」の口約束はどうなるのでしょうか?

さきほどの話は、相手が独身の場合。

今回のような既婚者との婚約は、重婚禁止の日本では公序良俗に反するといえます。それに、夫婦関係が円満であれば当然真摯な気持ちでの約束ではないので、彼の夫婦関係が破綻している場合を除き、原則として「成立しない」と考えられています。

婚約や、婚姻、内縁といった特別な関係にない男女交際は、法律上は原則自由恋愛。一方的にフラれたり、浮気されたりしても法的な保護を受けられません。

慰謝料を請求したいときはどうすればいいの?

―――どうしても慰謝料を請求したい場合でも、何もできないのですか?

いいえ。独身と騙し、結婚する気もないのに結婚すると言い……、真剣に結婚を考える女性を長年騙したケースでも「常に自由恋愛」じゃ納得できませんよね。

独身と騙して交際したり、結婚すると期待させて性的関係を継続したりするなどの悪質な事案では、例外的に「人格権侵害」として慰謝料の請求が認められる場合があります。

交際期間が長期間になることで人生に及ぼす影響も大きくなり、慰謝料は増額しやすいでしょう。

―――逆に、彼の奥さんから慰謝料を求められる場合もありますか?

あります。なかでも注意したいのは、既婚者男性と肉体関係を持ったことで、不倫(不貞行為)として彼の奥さんから慰謝料請求される可能性があることです。

結婚しよう

「知らなかった」では許されない!?

―――彼が既婚者と知らなくても、請求されますか?

請求されません。慰謝料の支払義務を負うのは、女性側に故意又は過失があるとき。つまり既婚者とあらかじめ知っているか、不注意で既婚者と気付かなかったときのみ請求されるのです。

―――「気付かなかった!」といえば、慰謝料をまぬがれる?

そうとは限りません。今回、全く既婚者と知り得なかった、知り得るきっかけもなかったのなら慰謝料の支払義務はないでしょう。でも、長く交際をしていると「あれ?」と思うサインが隠れていることが少なからずあるはず。

連絡が取れない、住所を知らない、家に行ったことがない、親兄弟友人に会ったことがない、目の前で電話にでない、言い訳が不自然……など、既婚者と疑われるサインは日常生活で多く見られます。大勢が気付く状況なら「過失あり」と判断される可能性があります。

このような受け入れがたい現実に直面したら、彼の責任を追及するもしないも自由に選べます。法律上、何ができるのかを知ったうえで、前を向いて人生を送るためにはどうすべきかよく考えましょう。彼の言動が怪しいと思ったら、後で後悔しないよう別れを選択するのも大切ですね。

【正木裕美・プロフィール】

弁護士法人アディーレ法律事務所・所属弁護士(愛知県弁護士会所属)。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。2012年には衆議院選挙に愛知7区より日本未来の党の公認候補として出馬し、「衆院選候補者ナンバーワン美人」とインターネットや夕刊紙で大きな話題を呼んだ。現在は弁護士として、ストーカー被害、結婚詐欺やDVなどの男女トラブル、パワハラ・セクハラ問題まで、幅広い案件を扱っている。

アディーレ法律事務所HPはコチラ

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