弁護士に聞いた!婚約破棄した彼が「婚約指輪代を返せ」と言われたら?
みなさんは、別れた彼からもらったプレゼントはどうしていますか?返す、別れても使う、捨てる、売るなど、色々あな方法があります。
では、もし婚約破棄した彼から「 婚約指輪 代を返せ」と言ってきたら、どうするべきなのでしょうか?弁護士の正木裕美先生に 婚約指輪 代について聞いてみました。
「 婚約指輪 」の意味とは?
―――婚約指輪には、どのような意味があるのでしょうか?
婚約は、男女が誠心誠意将来夫婦になることを約束することで成立しますが、法律では婚約指輪について何も定められていません。そのため、婚約指輪は婚約に必要不可欠という訳ではないんです。
―――では、婚約指輪の意味は?
過去の判例では、結納を「婚約の成立を確証すること」と、「当事者や両家の関係性を深めるために受け渡しされる一種の贈与」としており(最高裁 昭和39年9月4日判決)、婚約指輪の授受も同様の性質と考えられます。
裁判において、結婚指輪は本当に結婚しようという真摯な約束があったのかを判断する、一つの有力な根拠と扱われています。
―――では、婚約破棄となったら?
婚約破棄となれば贈与契約も解消されます。したがって、手元にある婚約指輪は法律上の原因なく受け取ったことになりますから、原則として、不当に得た利益して相手に返還しなければいけません。
婚約指輪 を返さなくてもいい場合がある?
―――彼が原因で婚約破棄となっても、返さなければいけないのでしょうか?
指輪を贈った彼に、一方的な心変わりや浮気などの婚約破棄の原因があるときは、自分の責任で婚約破棄にしながら返せなんて虫のいい話。ですから、一般的に返還を求めることはできないと考えられています。
―――女性にも原因がある場合は?
その場合は、双方の責任を比較し、彼の責任の方が重い場合は返還を求められないとされています。
また、特にどちらに婚約破棄の原因があるとはいえないのなら、婚約指輪が彼の地位や収入と比べてとても高価であるという場合でない限り、指輪を返す必要はありません。よく言う給料3か月分の婚約指輪だと、返さなければいけない可能性があります。
「 婚約指輪 代」全額返さなくてよい!?
―――では「指輪代」を請求されたら?
万一、あなたに婚約破棄の原因があり、婚約指輪の返還義務があったとしても、指輪代の全額を弁償しなければいけないのかというと、そんなことはありません。
―――なぜですか?
婚約指輪を受け取ったときには、婚約破棄になるとは思わなかったでしょう。このときは、その利益の存する限度、つまり今ある状態で返還すれば足りるとされています。
―――「今ある状態」と言うと?
婚約指輪をそのまま返せばよく、指輪の代金全額を払う必要はないということです。もし質屋に売ってしまった後なら、そこで受け取った代金を渡せば大丈夫です。
結婚の約束の証、婚約指輪。万が一このような事態に陥ったら、指輪と一緒に未練もスパッと断ち切りたいですね。
【正木裕美・プロフィール】
弁護士法人アディーレ法律事務所・所属弁護士(愛知県弁護士会所属)。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。2012年には衆議院選挙に愛知7区より日本未来の党の公認候補として出馬し、「衆院選候補者ナンバーワン美人」とインターネットや夕刊紙で大きな話題を呼んだ。現在は弁護士として、ストーカー被害、結婚詐欺やDVなどの男女トラブル、パワハラ・セクハラ問題まで、幅広い案件を扱っている。
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