第36回 日本アカデミー賞、最優秀賞発表!
3月8日、東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われた日本最大の映画賞『第36回 日本アカデミー賞』。
会場には、8カ月ぶりにメディアの前に姿を現した沢尻エリカをはじめ、大ヒット作『テルマエ・ロマエ』主演の阿部寛、『北のカナリアたち』の吉永小百合など華やかな面々が揃い、緊張感溢れる空気の中、最優秀賞が続々と発表に。
そしてクライマックス。ベテラン出演の大作を退け最優秀作品賞に選ばれたのは、若手の好演が光ったあの青春ドラマでした。
『桐島、部活やめるってよ』が三冠を制覇!
最多12部門でノミネートされていた『北のカナリアたち』『わが母の記』『あなたへ』ら強力ライバルを制し、重要部門である作品賞に加え、編集賞、監督賞で最優秀賞を手にしたのが『桐嶋、部活やめるってよ』。
本作は、第22回小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウの同名小説を『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『パーマネント野ばら』の吉田大八監督が映画化した青春群像劇。
学園のヒーロー・桐島のバレー部退部のニュースが、複雑な校内ヒエラルキーに縛られつつ学校生活を送る生徒たちに衝撃を与え変化をもたらしていく様子を、ミステリー仕立てで瑞々しく巧みに描いた作品です。
昨年8月公開当初はスロースタートながら口コミで興行を伸ばし、現在までロングラン上映されている実力派作品ですが、主要3部門と一般投票で選ばれる話題賞までかっさらうとは!
受賞スピーチで吉田監督は「まさか、こんなにと思わなかったので本当に驚いています。若い俳優たちが思う存分仕事が出来る場所を用意してくれたスタッフ全員に感謝します」と語り、生徒役で新人賞を獲得した東出昌大、橋本愛が喜びに涙を浮かべる表情も印象的でした。
最優秀主演賞は、阿部寛と樹木希林
ダブルノミネートの役所広司が本命視される中、自前の濃いお顔と作品のため10キロ増やした肉体美で古代ローマ人になりきった阿部寛に軍配があがったのが主演男優賞部門。
昨年は受賞作となった『テルマエ・ロマエ』のほか『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』『カラスの親指』で主演を務めるなど活躍ぶりが窺える阿部寛ですが、本人も「まさかと思った」と受賞は意外だったらしく登壇の際は緊張した面持ちで、トロフィーを持つ手が震えるような一面も。
「ちょうど震災があった次の日にイタリアに行って、みなその気持ちを大切に作った作品です」と振り返り、「次にこのステージに立つ時は、日本人の役で!」とユーモアのある一言で締めくくりました。
ユーモアと言うべきか、その自由なスピーチで会場を沸かせたのは、最優秀主演女優賞を受賞した樹木希林。
「(体調不良があるので)これをいただくと、来年この司会やんなきゃなんないってのが・・・」とぼやいてみせ、「わたしの(受賞は)おまけ。振り込み(賞金)だけいただいて、名誉は吉永小百合さんやエリカ様にあげたいぐらいなんですよ」と、出席者たちの笑いを引き出していました。
アカデミー賞のファッションはモノトーンがトレンド?
最優秀賞のゆくえとともに大きな注目を集めるのが女優たちの美しい装い。
ホワイトやペール系など淡色系が主流だった米アカデミー賞と比べ、日本アカデミー賞ではダーク系、もしくは正反対の純白を着用した出席者が目立ちました。
寺島しのぶ、広末涼子、宮崎あおい、草刈民代、松たかこ、橋本愛、井上真央、前田敦子が黒やネイビーのダーク系。吉永小百合、武井咲、大島優子が純白。満島ひかりが黒白バイカラーの個性的なドレスという具合に、今年は黒や白が基調のスタイルが勢揃い。
正直黒や白のドレスだと男性の礼服に紛れて目立たなくなりがちなのですが、そこでひと際目を引いていたのが、透け感あるグリーングレーのドレスを颯爽と着こなしていた沢尻エリカ。
久しぶりのお目見えでメディアも注目するなか『ヘルタースケルター』をイメージさせるゴージャスなメイク、金髪、きらびやかなドレスで魅せたエリカ様の存在感は抜群でした!
というわけで、昨年度に公開された数百の日本映画から選ばれた珠玉の作品を一気におさらいできた日本アカデミー賞。
あなたの忘れられない作品、これから観てみたい作品はみつかりましたか?
最優秀賞受賞結果・主要一覧
▽優秀作品賞:『桐島、部活やめるってよ』
▽優秀アニメーション作品賞:『おおかみこどもの雨と雪』
▽優秀監督賞:吉田大八(『桐島、部活やめるってよ』)
▽優秀脚本賞:内田けんじ(『鍵泥棒のメソッド』)
▽優秀主演男優賞:阿部 寛(『テルマエ・ロマエ』)
▽優秀主演女優賞:樹木希林(『わが母の記』)
▽優秀助演男優賞:大滝秀治(『あなたへ』)
▽優秀助演女優賞:余 貴美子(『あなたへ』)
▽優秀音楽賞:川井郁子(『北のカナリアたち』)
▽優秀撮影賞:木村大作(『北のカナリアたち』)
▽優秀照明賞:杉本 崇(『北のカナリアたち』)
▽優秀美術賞:磯田典宏/近藤成之(『のぼうの城』)
▽優秀録音賞:橋本文雄(『聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-』)
▽優秀編集賞:日下部元孝(『桐島、部活やめるってよ』)
▽優秀外国作品賞:『最強のふたり』
▽新人俳優賞:武井 咲(『るろうに剣心/愛と誠/今日、恋をはじめます』)、二階堂ふみ(『ヒミズ/悪の教典』)、橋本愛(『桐島、部活やめるってよ』『HOME 愛しの座敷わらし』『Another アナザー』)、染谷将太(『ヒミズ/悪の教典』)、チャンミン・東方神起(『黄金を抱いて翔べ』)、東出昌大(『桐島、部活やめるってよ』)、松坂桃李(『ツナグ』『麒麟の翼』『今日、恋をはじめます』)