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中絶は女性の体も心も傷つける…望まぬ妊娠が招いた悲劇

性感染症の予防にはコンドームを!ということを訴えた前回でしたが、今回は望まない妊娠について。本来、祝福されるはずの妊娠がつらい過去に変わってしまったビッチちゃんの、悲しい例を紹介します。

ひとつの過ちで全て崩壊……中絶ビッチちゃん

<プロフィール>
名前:中絶ビッチちゃん
年齢:30代前半

今回ご紹介するビッチちゃんとの出会いは学生時代にまで遡ります。

同じバイト先で同年代のビッチちゃん。彼女とは音楽の趣味が合い、CDの貸し借りをしたりするうちに仲良くなっていきました。当時、私も下北沢が好きなサブカル系女子で、お互いそういったところに親近感を覚えたのかもしれません。

大学三年生くらいのことでしょうか。彼女から、休みの日に急に連絡がありました。

「私、妊娠したかもしれなくて……」

私が知っている彼女は、バイトにも学業にも私生活でも真面目すぎるくらいで、まさか「できちゃった」なんて信じられませんでした。

聞けば同じ大学のサークルの彼との間にできた子のようで、サークル内で話が漏れることを恐れて私に連絡してきてくれたようです。

彼女は産みたがっていましたが、まだふたりとも学生であったことが理由で、中絶することになってしまいました。

しばらくの間ビッチちゃんはふさぎ込んでいましたが、相手の彼の励ましもあり、次第に元気を取り戻していきました。

しかし一年も経たないうちに、また彼との間に、二回目の妊娠をしてしまいます。今度こそふたりで結婚して産もう、と思っていたビッチちゃん。しかし彼はそれに応じませんでした。

二回目の中絶をし、彼とも別れ、ビッチちゃんはバイトも辞めました。あとで聞いたのですが、彼女は大学も辞めてしまったそうです。

私はというと、彼女が辞めたあともバイトを続け、大学卒業とともに今の会社(ソフト・オン・デマンド(株))に就職しました。 そんなある時、急に彼女から連絡がきました。

会話の中で私の就職先のことを話したからでしょうか。彼女から「実はソープで働いている」という衝撃の告白をされました。 彼女は「ちょっと興味があって」と理由を説明してくれました。

しかしそれ以上に、二度の中絶で家族からは勘当同然となり、中絶費用はもちろん生活費全般の援助を得られなくなったこと、彼との別れによる心の傷から人に求められる仕事につきたかった(私たちのバイトはただの飲食業でしたので……)ことが理由として大きいのではと、私は推測しています。

それにしてもいきなりソープとは……と驚きました。想定外の妊娠をしたとは言え、決して男性関係にだらしないわけではなく、彼氏もこれまで1~2人しかいなかったと聞いていましたから。

仕事熱心で誰よりも真面目な彼女だからこそ、やるなら一番大変なところで頑張りたい、と思ったのかもしれません。 以降、ソープランドからヘルスを転々とし、それらの全てのお店でナンバーワンになるほどに、一生懸命に働きました。

もともと真面目な性格だった上に、喪失感から仕事に生きがいを見出したようです。 しかし、シフトもぎっしりいれていたため、精神的にも肉体的にもストレスがたまり、あるときから精神を病み、いろいろな薬を飲まなければいけなくなりました。自傷をしたり、常に誰かに攻撃し続けているような性格になってしまいました。

今では私と同じバイト仲間が全員、彼女にとって攻撃する相手とみなされ、誰も連絡がとれなくなってしまいました。

望まない妊娠の悲劇を教えてくれた彼女

かつてGIRL’S CHでも、「避妊はしてる?その方法は?」というアンケートをとったことがありました。すると、1割以上の人が、「避妊はしていない」という結果に……。

もちろんその中には「妊活しているから」という理由が多かったのですが、「安全日は避妊しない」「外出ししている(=コンドームをつけず、男性が射精する瞬間に引き抜き、膣外に射精すること)」という意見も。

安全日というのは、排卵期以外の妊娠しづらい期間のこと。 しかしその人の体質や体調によっては、一般的に言われる排卵日が該当しない場合もありますので、安全日イコール避妊しなくて良い、というのは乱暴な考えです。

また、外出しについても同様です。射精前に出るカウパー腺液に精子が含まれている可能性や、男性が自分をコントロールしきれず引き抜く前に精液が漏れてしまうこともあります。性感染症の予防という点から見てもとっても危険です。

今回のビッチちゃんも、いろいろなことが影響してこのような悲しい結果になってしまったのだと思います。

「最初の中絶をしなければ……」 「二度目の妊娠のときに産んでいれば……」 「風俗で働くということを選択しなければ……」

何が悪い、誰のせいということはここでは言えませんが、望まない妊娠、そして中絶は、悲しい結末を引き起こすということだけは、確実に言えるかと思います。

「性を楽しむ」という言葉には、性行為を好きになり、楽しむ。そして、女性としての人生を楽しむ、という意味が含まれていると思っています。

その先に何があるのか。何かあった場合、自分はどうするのか。女性に生まれたからこそ、女性として後悔のない人生を送れるよう、そういったことを意識することが重要なのではないでしょうか。

文・田口桃子
女性向け動画サイトGIRL’S CHプロデューサー。女性メディアDOKUJOで「となりのビッチちゃん」連載中。性に対して前向きな女性を「ビッチちゃん」と呼び、普段あまり取り上げられない彼女たちのライフスタイルを世に広めることで日本のタブーに挑戦している。「となりのビッチちゃん Vol.1 – 女性向け動画サイトプロデューサーが語る、女子の最新「夜事情」とは?」

田口桃子

GIRL'S CHプロデューサー。

2007年、新卒でソフト・オン・デマンド(株)に入社。営業、マーケティング等の部署を経て、2012年よりGIRL'S CHの立ち上げに携わる。以来現在まで、GIRL'S CHの現場リーダーとしてサイト運営をしつつ、オリジナル動画ではレポーター出演等をすることも。

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