連載「となりのビッチちゃん」~第19回:メンヘラビッチちゃんPart1~
もうすっかりお茶の間に定着しつつある言葉「メンヘラ」。今回から2回に渡って、メンヘラをこじらせて、恋愛やセックスに影響が出てしまっている女性の例を見ていきたいと思います。
メンタルの不調がビッチ化を招く…メンヘラビッチちゃん
名前:メンヘラビッチちゃん
年齢:30代前半
9月の「ヤリチンくん」のときにご紹介した「メンヘラヤリチンくん」。そのときに定義した「恋愛メンヘラ」は、こんな人でしたね。
1.とにかく卑屈。相手に常に「好き」「愛してる」と言われていないと不安。
2.ネガティブな思考・発言が多いのに、相手の「好き」「愛してる」という言葉を疑う。
3.しつこく「好き?」「愛してる?」の確認をする。
4.セックスが好き、または上手い。
ここでいう「メンヘラ」は、主に恋愛において発揮されるものでしたが、今回のメンヘラビッチちゃんは、恋愛であろうとなかろうと、メンタルヘルスを害している女性。
ところで皆さん、「メンヘラ」というとどんな女性を想像するでしょうか?リストカットの痕があるとか、奇抜なファッションをしているとか、そういうイメージがあったりしますか?
メンヘラビッチちゃんはリストカットの痕もなければ、服装も至って普通。焦げ茶色のセミロングに、どこのファストファッションにでも売られていそうな、可もなく不可もない服装。
よく言えば普通の感性を持ち合わせている、悪く言えば、頑張って人に合わせることができてしまう人、なのかもしれません。
ビッチちゃん「リストカットはしませんよ(笑)しなければ耐えなれないという人もいるかもしれませんが、私の場合、メンヘラがバレてモテなくなるのが嫌だから、絶対しないと思います。服装は人それぞれな気がします」
田口「いつから、どんな症状があるんですか?」
ビッチちゃん「たぶん7~8年前からだと思います。仕事の忙しさとか彼氏のモラハラとかのストレスが溜まったのと、もともと真面目でうまく息抜きができない性格だったのが影響して、気づいたらものすごく無気力になってて。自分ではどうすることもできなかったんですけど、友だちのすすめで心療内科に通うことにしました。私の場合はうつとパニック発作があったみたい」
田口「なるほど。当時の彼氏の反応は?」
ビッチちゃん「酷かったですよ。心療内科に行くっていうのを伝えたときも、『甘えだ』『異常だ』って散々否定されて。だから最初に病院に行くまで結構時間かかりましたね。思えば最初に付き合った人だったし、彼氏ってこういうものだ、彼の言うことは絶対だ、と思っていたんですよね。彼が常に正しい、私は間違ってる、というスタンスで。今思えば、そりゃストレスもかかるよっていう(笑)」
田口「その後、彼氏とはどうなったんですか?」
ビッチちゃん「彼氏の浮気が原因で振られました。モラハラでもストレスを受け、別れることでもストレスを受け、このときが一番悪い状態でした。無気力というか、もう何の欲求もないんですよね。遊びに行きたいとか、おしゃれしたいとかっていう気持ちが全然なくて。それだけじゃなくて食欲性欲睡眠欲も全部なくて。会社も休みがちだったし、土日は本当にベッドから出られないで泣いてばっかりっていう。病院に行くのも億劫でした」
田口「それは大変ですね……。今は少しは回復されたんでしょうか?」
ビッチちゃん「一番ひどいときよりは回復しました。薬の服用は続いていますが。それでもやっぱり、まだ落ち着かないときが多いです。常に誰かとつながっていないと不安で」
一時期よりはかなり回復したというメンヘラビッチちゃんですが、彼女の心の病みはまだまだ続きます……。
安心の代償は身体で…心の病の辛さを教えてくれた彼女
ビッチちゃん「本当に自分勝手だと思うんですけど、誰かとつながってないと不安でしょうがないのに、友だちとはつながれないんですよ」
田口「それはなぜ?」
ビッチちゃん「友だちに汚い部分を見せたくないし、見せても理解されないだろうし。心のない慰めを受けたり、逆に説教されるなんてことになったら、面倒くさいじゃないですか。それだったら、知らない人といたほうが気が楽だなって。一度、信頼していて友だちに話したときに、『普段の様子から想像できない、嘘だ』って決めつけられたことがあって懲りました」
メンヘラビッチちゃんが誰かとつながる方法として選んだのは、とても危険な方法でした。
それは出会い系サイトです。
出会い系サイトで彼女のもとに来るメールに片っ端から返信し、メールが来ていないときは「今会える人」を検索し自分から連絡します。そうして彼女は、今晩の、今週の、この先の予定を埋めていくのです。
予定が埋まっていると安心する。そのためには誰かと会う予定を作るのが一番簡単。習い事をしたり、資格をとろうとか、建設的なことを考えるとパニックになるから、今の私にはそれしかできない。
真面目な性格の彼女はそうも言っていました。
ビッチちゃん「出会い系の人ってすごく優しいです。『かわいい』とか『こんなきれいな人に会えてよかった』とか言ってくれるんですよ。それだけで承認欲求を満たされますね。それにご飯もおごってくれたりするし」
田口「身体を求められることもあるのでは?」
ビッチちゃん「ありますよ、もちろん。セックスします。たとえ最初に、『メールから仲良くなりましょう』なんて言い出したとしても、そのメールの中でエッチな話題を求めてくることもある。『SかMかどっち?』『メールエッチしよう』なんて会話、日常茶飯事ですよ。本当毎回がっかりします。気を使ってくれるのも全部、身体目当てかよって。それでも求めてくれるのがありがたいから誘いは断りません。でも、セックスすればするほど、感情が薄れていく気がしています」
田口「辞めて彼氏を作らないんですか?」
ビッチちゃん「彼氏が、常に私のことだけを気にかけてくれますか?私の心の病気を理解してくれますか?5分以内にLINEを返してくれますか?……多分ムリだと思います。それができなくて寂しい思いをするくらいなら、一人だけの彼氏を作るのは、私にはできません」
彼女にとって、セックスとは自分の寂しさや心の不安を埋めてくれる男性に対して差し出す、自分の対価のようなものであるという風に感じられました。
すればするほど感情がうすれていく……きっとそれも、したくないことをすることによって、心が閉ざされていっているのではないでしょうか。
医者ではない私が彼女に対して、どうすべきかということは言えませんが、このままの生活を続けていても、彼女の傷は深まっていくような気がしてなりません。
また、最後に彼女はこんなことも言っていました。
「こういう話を聞いて、心が弱いって思う人もいると思うんですけど、どんなに気をつけていても、(心の病は)突然やってくるんですよ。急に人混みの中で動けなくなったり、過呼吸になったり。私も頑張ろうとしてるんです。でも、できないんです。同情して欲しいとは言わないけど、そういう人がいるっていうことを知ってほしい」
今回ご紹介した彼女も、一目見ただけでは本当に普通の女性でした。
せめてこの記事を読んだ方には、こういうことで悩んでいるという人がいるということを、知っていただけると幸いです。
GIRL'S CHプロデューサー。
2007年、新卒でソフト・オン・デマンド(株)に入社。営業、マーケティング等の部署を経て、2012年よりGIRL'S CHの立ち上げに携わる。以来現在まで、GIRL'S CHの現場リーダーとしてサイト運営をしつつ、オリジナル動画ではレポーター出演等をすることも。
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