連載「となりのビッチちゃん」~第17回:フリーランスビッチちゃん
今回紹介するビッチちゃんは、ちょっと特殊な仕事をしている女性。フリーランス、ではあるのですが、その中でもさらに特殊な職業。
具体的にはミュージシャンなのですが、夜クラブでDJをしたり歌を歌ったり、そんなことをなりわいとしている女性です。
学生時代からブラック系の音楽を好きになり始め、毎日のようにクラブに通う日々。
次第にお客さんではなく出たいと思うようになり、出ているうちに呼ばれて仕事として行くようになって、二十代半ばの頃には、その世界ではかなり名のある方になっていました。
未だに毎週末はどこかのクラブでDJをしたり、たまに東京以外の地方に呼ばれてゲストとして出演したりと、第一線で活躍しています。
とは言え、昨今クラブに対する規制が厳しくなり、イベント自体の数が減ってきているなどの理由から、その仕事だけで生活できているというわけではないようです。クラブは深夜から営業開始となるので、日中に別の仕事をしたりもしているとのこと。
仕事を選ぶか、子どもを選ぶか
ビッチちゃん「正直、普通の仕事をしている人とはいろんなところがズレてると思う。服装もスーツとか着る機会ないし、会社行ってる人たちよりも全然ラフ。恋愛も、会社員とは付き合ったことないかも。同じようにクラブでDJやったり、ダンサーしたりしてる男の子が多い」
田口「なるほど、それが職場恋愛みたいなものですもんね」
ビッチちゃん「そうそう。逆に、そこにいる男の子って、『いいイベント作ろう』みたいな同じ思いを持ってる大事な仲間だから、誰とも簡単にヤっちゃうなんてのはない。もちろん誰ともヤラない!ってのもないし、仲間になって惹かれていけば付き合うんだけど。環境が会社とか学校じゃないだけで、恋愛の始まりや中身は結構一緒なんじゃないかな。
クラブにいる人イコールビッチとかヤリマンとか思われがちだけど、全然そういうことはないよ。よく軽そうって誤解されることはあるけど。最初からナンパされる目的で来てる若い女の子がそうだから、そう見えるかもしれないだけだと思う」
田口「夜に出歩いたりするのって、体力的につらくないですか?」
ビッチちゃん「夜起きてるのはつらくないよ。ただ、寝れずに次の日の朝から予定が入ってたりするのはキツイ。たとえば朝までクラブにいて、そのまま帰って着替えて結婚式に参加する、とか。どっちも呼んでくれてるから休めないし。
そういう体力的な問題を抜きにしても、三十過ぎたくらいから、クラブに行くこと自体しなくなってきた同業者の子が多い。どんなにクラブにかよってた子でも、頭のどこかで『このくらいで結婚したいから、そろそろ生活変えよう』みたいなのがあるのかもしれない。
私ももう四十近くなってきて、まわりに辞めた同世代の子は多いよ。今年は特に出産した子が多かったし、他にも結婚して地方行ったりとか」
田口「一般的な会社員と生活サイクルは違うものの、結婚観とかはそれほど皆さん変わらないんですね。結婚を意識したことはあるんですか?」
ビッチちゃん「あるよ。二十代とかはやっぱ、長く付き合った人と最終的にはそうなったりするのかな~とか考えたこともあった。でも別に強い願望があるわけでもないし、タイミングがあえばかな~くらいで」
田口「では出産は?」
ビッチちゃん「それはあんまりないんだよね。特に子供欲しいとも思わない。ただうちは母親とすごく仲が良くて、母親を喜ばせるためになら産んでもいいかなとは思う。でもそれだけ。それに、出産したら何年か今の仕事休まなきゃいけないでしょ。お酒飲めなくなるからクラブにも行けないし。子供生まれて大きくなるまでは夜中でかけたりなんてできないし。
もっと自分の仕事を極めたいから、『その何年が惜しい、ここまで来て後退したくない』という気持ちもある。親戚にはあまり理解されないけど……」
「産まない」という決断。現代社会での女性の生き方を提示してくれた彼女
女性の生き方も多様化してきたとは言え、あくまで以前とくらべてだよな~と思う今日この頃。
そもそもこれまでの日本だと、異常なまでに、女性は結婚して家のことをするのが当たり前!と思われていたし、女性が働くことそのものが卑しいと考えられていた時代もあったほどです。
それが最近は、結婚しても働き続ける女性はもちろん、子供を産んでからも、会社の福利厚生を利用しつつバランスをとりながら働いている女性も多い。管理職をされている方のインタビュー記事もよく目にします。
ただ私がアラサー女子として思うのは、「結婚しない・子供を産まない生き方」というのは全くといっていいほど認められていないな、ということ。
女性は必ず結婚をして、子供を産まなければいけないという法律があるのなら問題ですが、そういうわけではないのに、あまりに「結婚していないこと」「子供を産まないこと」を低く見られる機会が多いというように感じます。
もちろんそういう生き方を認めてくれ!と大声をあげたいわけではありません。ただ、もう少し理解する人がいてくれてもいいのではないかな、と思うのです。
今回のビッチちゃんは、30代後半になっても子供を産まないことに対して、親戚の男性から「母親のためにやりたいことを二年我慢して、子供を産め」と言われたそうです。
その男性の言い分もよくわかります。ですが、その我慢は決して二年だけではないはず。子供は生きているのだから、いつから仕事を再開できるということは確実ではありません。
それに、子供を産んだあとに、それ以前と同じ仕事ができるという保証はありません。所属する組織の問題だけでなく、その人自身の適性という部分でも、です。
例えば出産後に体質が変わってハードワークに耐えられなくなった、とか、育児と仕事のふたつのことを頑張ることに精神的に追い込まれてしまった、とか。こういうネガティブなことは考えれば尽きません。
それとは反対に、子供を産んでからいかに幸せを感じるかも、母親の皆さんからしてみれば語り尽くせないかもしれません。
そう思うと、悩めるアラサー女子に何よりも必要なのは、「仕事」か「出産」かを選びとる覚悟なのかもしれませんね。
GIRL'S CHプロデューサー。
2007年、新卒でソフト・オン・デマンド(株)に入社。営業、マーケティング等の部署を経て、2012年よりGIRL'S CHの立ち上げに携わる。以来現在まで、GIRL'S CHの現場リーダーとしてサイト運営をしつつ、オリジナル動画ではレポーター出演等をすることも。
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