有村藍里はなぜ妹の足を引っ張り続けるのか【芸能評論】

人気女優有村架純の姉であり、グラビアアイドルの有村藍里。
バラエティなどを見ていて「有村架純の姉だが、特技も趣味もないブス」という自虐キャラが目につく人も多いだろう。
そんな藍里は、今年の4月から女優業もスタートさせている。
妹・架純が安定した人気を保っている中、なぜ藍里は架純の足を引っ張るような活動を続けているのだろうか。
幼い頃から藍里は「妹よりブス」と言われることに並々ならぬコンプレックスを抱いていた。
コンプレックスを抱くことで内気になっていた藍里は、自分の性格を変えるために芸能界入りを決意。
そして、架純より2年ほど先に大阪で芸能界デビュー。
藍里は新井ゆうこの芸名で活動していたし、架純が芸能界入りした後もお互い姉妹であることは公表していなかった。
藍里が細々と芸能活動を続ける中、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』の爆発的なヒットに伴い、架純は知名度が上がり一躍”人気女優”の仲間入りを果たしてしまう。
架純の知名度に左右されず、特に大きな変化のない芸能活動を続けていた藍里。
しかし『あまちゃん』の爆発的なヒットから2年後、事態は急変した。藍里はスポーツ新聞にて、架純の姉であることを暴露されてしまうのだ。
これに対し「不本意で暴露されたのではなく、本当は架純の人気に便乗して売名したかったのではないか」という批判も多かった。
しかし、本当に便乗して売名したかったのであれば『あまちゃん』の放送真っ最中や「あまロス」と騒がれていた放送終了直後に公表した方がインパクトが大きかっただろう。
わざわざ2年も待つ必要がなかったのだ。
これは「妹よりブス」だというコンプレックスを持つ藍里の“格上の比較対象をつくりたくない”というネガティブな面とも合致している。
昨年のNHK連続テレビ小説『ひよっこ』で主演を飾った架純。
しかし、その『ひよっこ』の放送開始直前で新井ゆうこから本名の有村藍里に改名したことで、またもや「便乗」や「売名」と騒がれてしまう藍里。
これに関して本人は「母親から本名で活動してほしいと言われ、所属事務所から独立したことを機に改名した」と公言している。
既に姉妹関係がバレてしまい、隠す必要がなくなった本名。
しかも、個人事務所へ移行するタイミングが年度末になってしまったのは至極当然のこと。
心機一転して改名するには絶好のタイミングであったし、架純の負担を最小限に抑えることができたと言える。
大事なことなので何度も言うが、便乗して売名したかったのであれば遅すぎる改名だ。
さらに、グラビアアイドルとしての活動スタイルが確立していなかった藍里に比べ、人気女優として次々と出演作品が決まる架純のダメージが少なかったのは明白。
藍里が架純の足を引っ張っているんじゃない。メディアが藍里の足を引っ張っていたのだ。
そして、架純のような人気女優を狙うのであれば、かなり遠回りな経歴である藍里。今更、女優の道を選んでも人気を獲得するのは相当険しい道だ。
しかし、藍里はもともと地元関西で、架純の知名度に左右されずに細々と活動していた。
“芸能人として人気を獲得したい”という野心があるなら、もっと早く売名行為に走っていただろう。
だが、野心は小さくともチャレンジ精神はある。
去年の5月に写真集を発売した以外に、グラビアの仕事が一本もなかった藍里は3月19日都内で開催されたイベントに出演した際
「去年から何も気にせず色々なことにどんどん挑戦していって、新しい道を広げていけたらいいなと思っていたので、そのひとつとして、女優さんの道もチャンスがあれば広げていきたいなと思います」
とも語っており、仕事の幅を広げるために新しいことに挑戦した、というだけなのである。
最後に筆者のものすごく個人的な意見を言わせてほしい。
ファンでないにしろ、ライターとして芸能人に向かって「人気女優有村架純の姉・有村藍里」なんて言葉は本当は使いたくない。
爆発的にヒットするようなドラマに出演できなくたっていい、人気女優になんかならなくたっていいから「有村藍里の演技は本当にすごい」と心から伝えたくなる女優になってほしいと願う。いつか、いつかきっと。
(文・巻川とっしゅ)
エンタメライター。お笑いとものまねをこよなく愛すアラサー女で、基本面白いことには何でも首を突っ込む性分。
BLも少々嗜んでいます。