女子ウケを狙う、自称・星野源好き「サブカルおっさん」が増殖中【芸能評論】
最近、星野源(37)が人気らしい。しかも女子からだけでなく、いい歳したおじさんたちから支持を得ているというから驚きだ。
筆者はここ最近CDというものを買っていない。TVもすっかり観なくなってしまったので、彼のどういった部分が評価されているのか、いまいち把握できていない。
聴いたことがある曲は「ニゲハジ」とかいうドラマの主題歌と、星野本人が車掌かなんかの格好で踊っているMVのやつだけだと思う。
出典:星野源オフシャルサイト
知らないくせにあれこれ言うのもなんではあるのだが、周囲の音楽好き・サブカル系の人たちに彼はすこぶる評判が良い。
昔でいう渋谷系だとか、または「くるり」だとかを支持している連中と言えば良いのだろうか。
音楽以外に俳優や文筆家としても活動しているせいか、その手の文化系女子からも絶大な支持を得ているようだ。
そんな大人気の彼なのだか、筆者はどうもこの状況に違和感を覚える。
いや、騒いでいる文化系女子に対してというより、いっしょに騒いでいるように観察される「サブカルおっさん」男子のほうに、なのだ。
このサブカルおっさんたちは、先ほど挙げた音楽以外だと普段は洋楽なんかを褒めていて、最近の一般にメジャーな音楽なんて取り上げもしないはずなのだ。
にもかかわらず、みんな口をそろえて「星野源、いいよね」なんて言っている。
ただ、具体的にどのアルバムが素晴らしいとか、今この曲をがんがんヘビロテして聴いている、とかではない。
というか、あまり聴いてハマっているといった印象がないのだ。
こちらとしてはどうにも腑に落ちないので、そんなサブカルおっさんたちに彼の魅力について尋ねてみるのだが「ブラックミュージックを大胆に取り入れた歌謡曲」だの「マニアックなものをメジャーな場で表現してる」だのといった意見が返ってくる。
しかし、昔から世の中のポップスってブラックミュージックの影響を多大に受けてるもんでないの?
一般に大ヒットしてる音楽って、マニアックなジャンルを分かりやすくアレンジしたものが大多数だよね?。
だから、純粋に星野源を教祖的に崇めている文化系女子と違い、サブカルおっさんの彼に対する評価はどうにもぼやっとしている。
いいと言う割には夢中になっている感じがない。そして星野主演のドラマの話題になると当然「恋ダンス」だ。ガッキーかわいいって、それもう星野源関係ないやんけ。
出典:星野源オフシャルサイト
この男女の差はどこから来るのだろう。そう考えると、やはり星野をダシに文化系女子に擦り寄ろうとするおっさんたちのスケベ心に原因があるように思える。
つまりここには、腐女子受けを狙ってBLに手を出すにわかオタク。
あるいは、相撲に興味がないのにデブ専女子にモテたくて相撲部をうろつくようなデブに通じる、実に滑稽な精神が潜んでいるのではなかろうか。
サブカル系おっさんにとって、ジャニオタやエグザイルファンの女子に取り入ることは無意味だ。
そもそも彼女たちの好きな歌はどれも嫌いだし、褒めてみたところでルックス的に自分たちを好きになってくれる可能性はゼロ。
しかし星野ファンの女子ならどうだろう。趣味はお互い合致しやすいだろうし、こんなしょぼい見た目の男でOKなら、俺でもワンチャン行けるのでは?
星野源を支持する男が多数存在するのは、前述のような思考を無意識に持っているおっさんたちが相当数いるからと思えてならない。
好き嫌いが激しいはずの彼らの星野に対する生ぬるい称賛の裏には、このようなカラクリが潜んでいるのではないだろうか。
また、細野晴臣のようなベテランミュージシャンが星野を評価していることも、この彼らの行動を正当化させ、強固にバックアップしていると言えるだろう。
考えてみれば、星野源という男のマルチな文化人としての活動は世のサブカルおっさんたちの理想像として映っている、とも言えるのかもしれない。
学生時代に村上春樹をしこしこ読み漁り、訳もわからずゴダール映画を観てすくすく育ったサブカルおっさんたち。
彼らがこの先「サブカルじじい」に進化(退化?)したとき、その精神的支柱は星野源から誰に代わっているのだろうか。
筆者は刮目して見守りたい。……キモいけど。
ライター/裸足のゲル
90年代パンクから日本の初期エモを経て、現在は「お洒落じゃないネオアコ」を求め日々ネットをさまよう音楽ライター。かわいいLINEのスタンプを集めるのが好き。