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【毒舌独女】続報、浮気男はリスと同じ

「浮気するんでも、愛情が無いとアカンで」

と言うのは、40代のお兄さんの一人、橘さん(仮名)。
ちなみに独身。
典型的な結婚「しない」独男。

何事にも縛られたくない自由人なので、多分、恋愛経験も豊富。
豊富そうだけど、尋ねたことは無い。
だって、聞いたら寝られなくなるエピソードがありそうで、ちょっと怖い。謎のままにしとこう。

橘さんの演説は続く。

「証拠を見つかる場所に隠すヤツはアホや」
リスです

「オレは現場を押さえられても、絶対、認めへん。それがオレの愛情

これも困ったモンだ。
でも、認められても、嫌だなぁ。複雑だ。一人で哲学してしまう。
浮気を認めるのが愛なのか、否認し続けるのが愛なのか。どちらが、真実の愛なのだ。

いや、ちょっと待て
ナニユエ、浮気されるのが前提なのだ。暗黙の了解は、お互いにオンリーワンじゃないか。
浮気しない男だって、世界中を探せば、どこかに存在している筈だ。

でも、認めるのが愛なのか、否認し続け……。


本編。
前回のあらすじは、前回の『浮気男はリスと同じ』を読んでください。

傷心の栄子ちゃん(仮名・25歳女子)が気になり、電話をかけてみた。もしもーし。

「あ!花鱗さんですか」
おい、明るいな。何があった。

「あのね、追い出しましてん。あのアホを」
おめでとう?

詳しい経緯を聞きたいなぁ、って言ったのが間違いだった。
コッチ持ちの電話代で、2時間喋りやがった。まぁ、充実の時間だったから良いか。

ああ、その場に居合わせたかった。
ツーショット写真をシンクで燃やすだなんて、素敵過ぎるよ、栄子ちゃん。
闇の中、揺れる炎で浮かび上がるオマエさんの般若の形相、目にしたかった。

あ、般若は怒りと嫉妬に狂った女がモチーフなの。コレ、豆知識ね。
栄子ちゃんにピッタリの面。ふふ


浮気の証拠はツーショット写真だけではなかったらしい。他にもゴロゴロ出てきたとのコト。
女物のハンカチ、ピアス、ラブホテルの割引券、イマドキ古風にラブレターなどなど。

これだけ忘れられるのも、ある意味すごい。危機意識が無さ過ぎて、逆に喝采を送りたくなる。

全ての証拠の品をキッチンに集結させ、リスの目の前で一つ一つ点火
金属類はバーナーで溶かした

すげー!
この為だけにバーナーを買ったんだ!栄子ちゃんの怒りの激しさを感じた。


ルンルンしながらメモを取っていると、受話器の向こうで栄子ちゃんがポツリと呟いた。

「信じていたんですよ」
ペンを動かす手が止まった。

「信じていたかったんです」
うん、そうだね。悲しいよな。面白がって、ごめん。

「いえいえ。コレってネタになりますか?笑ってもらえますかね」
なるなる。 (笑えるかは、私の腕次第だけど)

「良かった。この為にバーナーを買ってきたんです
げっ。

「ただ燃やすだけやったら、芸が無いでしょ。コレって経費で落ちますか」
落ちません。領収書、持って来るなよー。

栄子ちゃんはたくましい。リス無しでも、十分、一人で生きていける。
良い女子に成長しそうだ。これから、とても楽しみ。
また、一緒に飲みに行こうね。もうネタは作らなくていいから。

旭堂花鱗

コラムニスト/コンテンツライター

広島県安芸郡出身、大阪府高槻市在住。恋愛記事から豆知識、果てはビジネス文書まで幅広く執筆するライター。古典芸能に携わっていた経験もあり、日本文化について少し詳しい。文芸春秋『週刊文春』に載せてもらえたのが人生の自慢。

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