【毒舌独女】浮気男はリスと同じ
同棲中の彼氏が浮気をしていた。
パンツの入っている引き出しの奥から、見知らぬ女と二人で笑顔の写真が見つかったのだ。
こりゃ、大変。修羅場だね。
念の為に記しておく。私のエピソードでは無い。
私はね、パンツじゃなくて、辞書の間から見つけたコトがある。
今となっては、懐かしい思い出。あはは……。
パンツの被害者は、最近親しくなった25歳の栄子ちゃん(仮名)。
新鮮なネタを有難う。
って、本人にとっては、ネタじゃ済まない。
よっぽどショックだったのか、泣くわ喚くわ、手のつけられない荒れっぷり。
「何でバレるトコに隠すねん!」としきりに叫ぶ。
ちょっと怖い。落ち着いて欲しい。
冷静になってもらいたく、私の意見を述べてみた。
「多分ね、ソイツは自分で隠したの、忘れたんとちゃうかな」
これを聞いた栄子ちゃん、顔を真っ赤にし、
「それって、ドングリ埋めるリスと同じやないですか!」
と怒鳴った。矛先を私に向けるな。私は味方だ。チッ。
図鑑で見たリスを思い出す。
リスは冬眠の貯えにドングリを巣の近くに埋めながらも、必要な時には忘れている。
そのドングリは春になると芽吹き、森の一部と化すという。
ドングリと浮気写真を入れ替えて考えてみよう。
あのツーショット写真は、栄子ちゃんに殺意を芽生えさせ、私のネタの一部と化した。
なるほど。
確かに、浮気男はリスっぽい。
この話を、同年輩の男友だち数人にしてみた。
栄子ちゃんだけでなく、私も何故浮気の「記念品」を隠して、忘れられるのか知りたい。
男なら判るだろうと、疑問をぶつけてみた。
すると、30代独男たちの目は泳ぎ始め、挙動不審となった。身に覚えがあるのか。
この反応は少し嬉しかったりする。まだ、私を女として見てくれてるってコトじゃないの。うふふ。
嬉しいけれど解決には繋がらないので、今度は40代のお兄さんに願い。
さすが、大人の男性、挙動不審にはならなかった。
しかし、必ず「オレは浮気しない」と念を押された。
6人に質問して、6人全員がこう言った。
逆に怪しい。まぁ、私は彼女でも奥サンでも無いから、どうでもいいや。
お兄さんの一人、青野さん(仮名)がニヤリと笑った。
期待が持てるぞ。
ウキウキな私の目の前で、青野さんはゆっくり口を開いた。
「男にとって浮気は、瞬間的恋愛」
ぶはっ!ある意味、名言。何となく納得。
「瞬間の恋愛やから、瞬間で忘れる。写真を隠せるんやったら、マシな方ちゃうか」
栄子ちゃんのリスは賢い方らしい。何の慰めにもならないけど。
青野さんの実体験のような重みのある言葉で、頭の中が少しスッキリした。
お礼と報告を、青野さんの奥様にしたいなぁ。
リアリティ溢れるアドバイスだったんですよ。クスクス。
まだ、栄子ちゃんの件は、決着がついていない。進展があれば、お知らせする。
コラムニスト/コンテンツライター
広島県安芸郡出身、大阪府高槻市在住。恋愛記事から豆知識、果てはビジネス文書まで幅広く執筆するライター。古典芸能に携わっていた経験もあり、日本文化について少し詳しい。文芸春秋『週刊文春』に載せてもらえたのが人生の自慢。
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