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馬場の婚活、1年4ヶ月で終わったってよ【最終回・三十路と婚活】

馬場です。三十路です。

いきなりの婚活終了宣言に、動揺している婚活アラサー女子の皆さんもいらっしゃるかと思います。いろいろご報告する前に、これだけはお伝えしておきます。

馬場は独身、当然妊娠もしておりません。

では、なぜ婚活が終了したのでしょうか。

続・こじらせ男子I氏/30歳

前回、仕事を通して知り合った既婚者M氏の依頼により、なぜか婚活相談に乗ることになった馬場。三十路にもなって、お付き合いの段階からつまずいている難アリ物件・Iと対峙しました。

とはいえ、馬場に至っては婚活をしているのに1年以上も結果を出せていない事故物件。その場にいた編集部スタッフ・K女史にI氏と馬場は似ている」とまで言われてしまったことで、彼を知れば私が婚活でしくじっている理由も見えてくるかもと考え始めました。

そんなわずかな希望を胸に、後日2人きりでI氏の婚活相談に乗ることに。

婚活相談1回目、前回から一週間後の土曜です。

事前に「気取らず、日本酒を飲めるお店がいい」とお店のリクエストをしていた馬場は、I氏が予約してくれた和食居酒屋へ。店内に入ると「お連れ様がお待ちです」と席に通されました。

しかし、どこにもI氏の姿がありません。予約名もしくは時間を間違えたのかと思いキョロキョロしますが、そこにいるのはつるっぱげの男性だけ。しかし私をジッと見つめ、何か言いたげです。こんなハゲ知らないのに、何だろう?き、気味悪い……。

「ば、馬場さん……僕です、Iです」

……え?

よくよくよ~く見ると、つぶらな瞳にフニャ~っとした笑顔は、紛れもなくI氏!この一週間で、彼に何か事件があったのでしょうか。言葉を失いフリーズする馬場に、I氏はお馴染みのフニャ~っとした笑顔で一言。

「剃っちゃいました~」

見りゃわかるよ!

そういえば前回会った時、I氏はおでこが広いということをかなり気にしており、「僕ハゲてるんで!」と明るく自虐していました。馬場から言わせれば、ジュード・ロウみたいで気にならなかったんですけどね。

そんなI氏、本気で婚活相談をする気になったのか、決意の剃髪で臨んできたよう。その様は、の降臨を彷彿とさせ、ありがた~い雰囲気まで醸し出していました。

そんなこんなで彼の正面の席に座り、ビールで乾杯。まずは、I氏の新しいヘアスタイルにツッコまないわけにはいきません。努めて明るく「ずいぶん思い切りましたね」と言葉をかけると、

渡辺謙を意識しました」

とのこと。

世界のケン・ワタナベと張り合おうとする心意気には感服ですが、足元どころか爪の先にも及ばないのは明らか。しかし、自分のコンプレックスを明るく受け止め、高い目標を目指すのは素敵なことですから、まずはプラスポイントです。

しばらくすると、I氏はゴソゴソとタブレットを取り出しました。

「馬場さん、この前教えてもらった50項目、僕も作ってみたので見てもらえますか?」

前回、I氏の具体的なタイプがわからないという話をした時、「とりあえず結婚相手に求めることを50項目作りなさい」と指示しました。なんと彼は、それを実践していたのです。なんて素直!

早速見てみると、見た目や価値観などがズラリと並んでいます。

身長160センチ前後
髪は短め
年齢差3歳まで
真面目
自己主張がある

独特の世界観がある
お酒が好き
何事も一生懸命
浮気しない
向上心がある  など……

ふむふむ、至って普通。どれも馬場にすら当てはまるものですから、特段理想が高いという訳ではなさそうです。そこで、I氏の50項目を酒の肴に、1項目ずつ詳しく話を聞いてみました。

じっくり話してみると、真面目でユーモアもあって、所々に知性も感じます。きちんと言葉のキャッチボールができる上、こちらが話しやすい雰囲気も作ってくれるのです。しかもノリよく、馬場の50項目も見たいと言ってくれた上に「僕、結構当てはまりますよ!」とリップサービスまでしてくれるオマケ付き。

そして一番スゴかったのは、ネガティブな発言がないこと。これまで婚活で出会ったクソ野郎たちからは、初対面で元カノ仕事の愚痴などを聞かされました。それだけでなく、彼らは人の話を聞かないし、不愉快なボディタッチまでしてくるのです。そのため馬場は、3時間も経たないうちに彼らのことが大嫌いになりました。

しかしI氏に関しては、どんなに話していても不快感がなく、大嫌いになるポイントが見当たらなかったのです。

結局6時間、終電まで話し続けました。男性の粗探しが得意な馬場ですら、I氏の粗は見つかりませんでした。むしろ、また会いたいと思いました。

一週間後、場所を変えて2回目の婚活相談を開催しました。前回解決できなかった、I氏の婚活、そして馬場の婚活がうまく行かない理由を、今回こそ導き出さねばいけませんから。

今回は、得意の減点方式でI氏の欠点をより近くで見つけようと、カウンター席へ。悪い点が見つからないとアドバイスできませんから、粗を探すためにI氏をまじまじ見てみました。後光が射すつるっぱげとフニャ~っとした笑顔とは裏腹に、腕はガッチリしているし、意外と体格がよくて男らしい……。

あれ!?
粗どころか萌えギャップしかない!?

これだけ会っているのに欠点が見当たらないI氏。減点どころか加点しかできないという、馬場のセオリーに反する状況に、動揺で心臓がバクバクしてきました。この緊急事態をなんとか収拾させなければ!

それから再び一週間後、背水の陣で3回目の婚活相談を開きました。今日こそ答えを出さなくちゃ、婚活の匠としての名が廃ります。

そこで、今回は1日かけて粗探しをするために、水族館へ行きました。I氏の婚活がうまく行かないのは、きっとデートの仕方に問題があるはず!

しかし、デートの段取りも上手だし、臨機応変な対応もできます。疲れた顔も一切見せず、一緒に楽しもうという気持ちを全開にして接してくれます。それなのに、どうしてI氏の婚活はうまくいかないのでしょう?

悩みに悩んで、やっと答えが見つかりました。

I氏の婚活がうまく行かなかったのは、探す場所を間違えていたから。
馬場の婚活がうまく行かなかったのも、探す場所を間違えていたから。

相手に対するこだわりが強い人は、短時間で相手を見極めることが苦手です。婚活のように、わずかな時間でたくさんの人をジャッジしなければいけない場で誰かを見つけるなんて、I氏と馬場には無理に決まっています。だから、I氏が難アリ物件なワケでも、馬場が事故物件なワケでもなかったんです。

では、お互いにどう解決すればいいか。

私たちが付き合っちゃえばいいんです。

3回の婚活相談を通して、いろいろなことを話しました。その中で、お互いが結婚相手に求める50項目のうち、どちらも40項目当てはまっていることが判明。恐らく今後、ここまで合う人と巡り会うことはかなり難しいでしょうから、いっそこの縁を大切にしちゃえばいいのではないでしょうか。

このアイディアにはお互い賛成だったので、話し合った結果、そのままお付き合いすることに。同時に、I氏の婚活相談もちゃんと解決することができました。

 

ということで、1年4ヶ月に及んだの馬場の婚活は終了。しばらく戦場から離れることにします。当然、結婚相談所にも登録しません!

もちろん、今後I氏との間に何が起こるかはわかりません。ものすごいケンカをするかもしれないし、お互いにもっといい人と巡り会うかもしれません。結婚する可能性と同じだけ、別れる可能性だってあるわけです。

でも、婚活を通して鉄のように冷たく、岩のように固くなった馬場の心を一気に解きほぐしてくれたI氏のことが大好きだし、感謝しているし、大切にしたいんですよね。だからもう、出会いを求める婚活は必要ないかなって思うんです。

ということで、1年4ヶ月に及ぶ壮大な戯れ言「三十路と婚活」も大団円を迎えたよう。また会う日まで、引き続き結婚に向けて奮闘したいと思います。

アラサー女子、フォーエバー!

馬場チエコ

アラサーど真ん中の三十路独女。「東京独女スタイル」編集部で、結婚できる女になるべく日々奮闘中。2015年3月からスタートさせた婚活連載「三十路と婚活」は、1年4ヶ月後に彼氏ゲットという形で幕を下ろしました。電子書籍も出しちゃってます。

週に1回、婚活映画評論家・バーバラ馬場に変身する。

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