第12話「恋の黒船来航」~連載・恥の多い恋愛を送ってきました~
『太平の眠りをさます上喜撰たった四はいで夜も寝られず』
日本史を学ぶ者、この歌を目にしたことがある人は多いだろう。
歌の背景を述べてみると、
江戸末期、黒船が来航した時のもので、
長いこと太平の江戸の世で平和に暮らしていたのに、
突然予想もしていなかった来訪者により混乱がもたらされた…
ということを皮肉った歌である。
この歌、遠い昔に詠まれた歌であるため
、
自身に置き換えて考えたことがある人はいないかもしれない。
だがよく自身振り返ってみてほしい。
恋愛においてのちょっとした『黒船』と言えるもの、
誰しも体験したことがあるのではないだろうか?
そこで、今回は恋愛における
『黒船来航』について事例を交えつつ
『防衛成功』と『防衛失敗』の2ケースについて書き綴っててみようと思う。
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■1.防衛成功
決まった相手がいて平和に暮らしていたの
突然思いもしなかったアクションをとられ
、
平穏な気持ちが乱されるケースである。
以前、筆者は深夜に
連絡が途絶えて久しい男から突然このようなメールを送られたことがあった。
『昨日、お前が夢に出てきてさ。……気になったからメールを送るよ』
……って、勝手に夢見るな、と。
安眠を阻害したうえに、夢で勝手に見られたんじゃたまったものじゃない。
そもそも、夢だけで済んでいるのかどうかわかったもんじゃない。
他の用途にも使用されてそうで大変腹立たしい。
ただ、こういった場合は自身の方が完全に忘れていたケースであるので
不快な思いはせども2次被害は特に起こらず、
平穏な生活が実際に脅かされることはない。
『黒船』がやって来ても、それに余裕で対抗しうる状態になっていたか、
『黒船』自体がたいへんな小型船だったということだろう。
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■2.防衛失敗
決まった相手がいて、平和に暮らしていたのに
何かしら思いを抱いていた相手と接触することで燃え上がってしまい
平穏な暮らしが崩壊するパターンである。
筆者の周囲でも、長く付き合っていながらも
結婚してすぐに離婚するケースにおいて、このケースが報告されている。
『交通事故っていうか、
隕石に当たってしまったのだと思って諦めます。
車ならまだしも、隕石降って来たんじゃ防ぎようがないですよね。』
・・・と、知人の被害者は語っていたが、
たしかにこのケースはなかなか感知できるものではない。
被害に合わないようにするのは大変困難である。
『黒船』自体がたいへんな大型船だったということだろう。
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日本では黒船来航があった際、大混乱をきたしたが
その場はとりあえず言い訳で凌ぎ、
それ以降は、己をひたすら強化(富国強兵)することで
なんとか植民地化を防ぐことができた。
その後の軍国主義化についての是非については諸説あるだろうが
この時に限っていえば、結果的に防衛することに成功したのである。
恋愛においても、平穏がいつまでも続くと思っている時、
いつ、どこで『黒船』はやってくるかわからない。
その『黒船』がやって来た時の自分の心理
、
『黒船』の大きさ(強さ)によって
防衛できるか否かは異なってくるだろう。
(潜在的に黒船を求めていた場合は別だが・・・)
よって、たとえ平穏でいつまでも続くと感じる間柄でも
己という国の富国強兵には余念がないよう心がけねばならないのである。