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外資系金融の人々★[第8回] 帝国ホテルImperial towerで1ヶ月暮らす夫婦

外資系金融 8

S美は私の大学時代の友人で、米系銀行へ新卒で入行。彼女は入社してまもなく、20歳近く離れたイギリス人の上司と結婚してイギリスへ移住した。

夫はロンドンやNY、東京など世界各国へ勤務地を転々とすることが多いエクスパットである。

彼女は憧れのセレブか、それとも……?

エクスパットとは、本社から世界中の支店に派遣される、将来の出世が嘱望される超エリートクラスの人々を指す。

S美の夫は年に1、2度くらい東京出張があるようで、彼女も一緒に来日する。彼らの1回当たりの滞在期間はおよそ1ヶ月。いつも帝国ホテルのインペリアルタワーに宿泊している。

あの帝国ホテルで1ヶ月間も暮らすとなると、宿泊代だけでもざっと100万円は下らないだろう。まさしく贅を尽くした限りである。

S美が東京に来る際には、私は一緒に食事を取りながらお互いの近況を報告し合う。

S美の夫は、S美を連れて香港やシンガポール、クアラルンプールなどアジア各国をよく出張するらしい。当然、フライトはビジネスクラス。

各都市では必ず高級ホテルに宿泊。彼女はちょっとした下着などの日用品も、ホテルのアーケードに軒を並べるシャネルやエルメスなどのブランドショップで取り揃えるらしい。

「何もすることもないから、つまらないわよ!」と言うのが彼女の口癖。

前回、銀座で待ち合わせした時は、S美はいつものように見るからに高級そうなワンピースで現れた。

聞くところによると、帝国ホテルの中に入っているシャネルで洋服を新調してから、その足で青山のエステサロンに向かい、六本木のネイルサロンにハシゴしてからやって来たのだという。

まったく、ストレスフリーの彼女が羨ましくてたまらなかった。高級ホテルで暮らしながら世界各国を旅することができるのだから、それは夢のような話で羨ましい。

しかし、実際にそのような暮らしをしている彼女を見ているとそれほど幸せには思えない。

なぜならば、旦那は仕事で彼女は一人ぼっちにされることが多く、寂しさを穴埋めするために、方々でお金を使い時間をつぶすからである。

一体、彼女は人も羨む憧れのセレブのか、それとも常人では理解しがたい悩めるセレブなのか、だんだんわからなくなってきた。

※この記事は2010年8月21日に掲載されたものです。

>>「外資系金融の人々★[第7回] 取引終了の合図でドンペリを注文」を読む

編集部
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