【三十路と婚活】こんな男とデートしてみた~デザイナー/34歳の巻~
馬場です。ゴールデンウィーク、デートを一度もできなかった独身の三十路です。
前回、日本在住の韓国人男性とイイ感じになったにも関わらず、馬場の決断力不足で残念な結果になりました。据え膳も食えなかった婚活女子として、次のチャンスは必ずモノにしようと決心。
そんな矢先、Tinder(ティンダー)で新たなメンズとマッチングしました。
デザイナーU氏/34歳/年収不明
海外芸術大学卒、都内でデザイナーとして活動中、山手線沿線上在住
マッチング希望機能「LIKE」が鳴りやまない中、新たにデートのお誘いをしてくれたU氏。アートのニオイしかない風景やグラフィックなどのオシャレ写真を多くアップし、自己紹介文も英語で記入する意識高い系男子のようです。
プロフィールによると、WEBや出版物のデザインを生業としているよう。自分には無縁の芸術の分野で活躍する人には、無条件で尊敬の念を抱いているせいもあり、馬場もとても興味を持ちました。
さらにメッセージのやりとりもシンプル。「職種は?勤務地は?じゃあ飲もう」くらいのテンポで、マッチングから1週間も経たずにデートの約束をしました。数多のマッチングアプリデートの経験から、ダラダラ連絡をとるよりさっさと会いたい馬場。早くも好印象を持てたため、アート系男子U氏に期待が膨らみました。
デート当日。意識高い系男子らしく、恵比寿に集合です。
初対面のマナーとして、どんな服装で来ているかをU氏に確認。すると「白スニーカー」と返事がありました。
特徴、それだけ?
たくさんの人でごったがえす19時の恵比寿で、耳なし芳一の耳を探す亡霊の如く、闇夜にボンヤリ浮かぶ白いスニーカーを探します。なかなか見つからずウロウロしていると、彼が私に気付き「馬場さん?」と声を掛けられました。
黒のニット帽、黒のジャケット、黒のリュック、黒ジーンズに白スニーカーの男性、U氏でした。実際に見てみると、これまでデートした男性の中で一番馬場の好みのファッション。さらに期待が膨らみます。
お店を予約していなかったU氏と共に30分近くうろつき、「満席です」の店員さんの声を何度か聞いたところで、やっと1軒のカジュアルイタリアンのお店を見つけました。段取りが悪くても、すぐにダメ出しはしません。
席に着くと、堰を切ったようにU氏が話し始めました。
「いや~、半年近くTinderやってきたけんどぉ~、こぉんな美人と会ったことはぁ~なかったな!馬場さんは俺と会って、どう思った?アリ?ナシ?俺は超~大当たり!しかも『DOKUJO』の編集者なんでしょお~?そのサイト知ってっからぁ、そこで働く女性と一緒にいるなんてぇ、嬉しいなぁ!」
突如、馬場を崇め奉りだしたU氏。褒めてくれるのは大変光栄なのですが、こんなに褒められすぎて恥ずかしくなってしまいました。その気持ちを煽ったのが、彼の話し方。ボリューム大きめ、少々高めの声のうえ、語尾に強いアクセントが残る独特の方言が混じっているようです。その声は、15席ほどのこじんまりしたお店に高らかに響き渡りました。
とりあえず注文をしようとメニューを手に取ると、何やら四苦八苦し始めました。ディナーメニューとランチメニューを一緒に見ているよう。「何でぇ、同じ内容のメニューなんだぁ?」と真剣に悩むU氏に、「提供する時間が違うだけで、内容は同じ」と説明しますが、合点がいかないようです。3回説明しましたが、馬場の説明が悪かったのか店員さんに質問してしまいました。
恥ずかしい、こんなバカな男といるのが恥ずかしい。
なんて心の中で毒を吐きそうになりましたが、U氏はきっと緊張しているのでしょう。すぐにダメ出しはしません、多めに見ることにしました。ワインで乾杯すると、今度はU氏がスマホを見せてきました。
「これ、オレ!」
見ると、個人サイトのよう。一時フリーランスのデザイナーとして働いていたため、仕事用に自分のサイトを持っているようです。初対面で、自らの身元を明らかにしてくれる姿勢は、とても誠実。若干、オレ自慢は感じましたが、すぐにダメ出しはしません。しかし、その後の会話には少々引っかかる部分がありました。
「元カノは公務員だったからぁ、退屈だった。やっぱバカ女は嫌いだな、元カノは超つまらなかったしぃ」
「おれは形に残る仕事がしたいからぁ、営業の奴らにはそういう仕事を取ってこいと言っている」
「海外留学していた時に出会ったアジアの女は、皆ダサかったぁ!」
何だろう……上から目線?その一方、馬場に対しては正反対の言葉をかけてくれます。
「馬場さんは元カノと違ってバカじゃないから、話してて楽しい」
「いや~編集者ってオーラがあるねぇ!海外で会ったどの女より素敵」
「実際に会った方が美人だから、Tinderのプロフィール写真変えた方がいいよ」
何……この上から目線!!
褒めてくれるのは本当に本当に光栄なのですが、人に対する悪口と比較で褒められてもモヤモヤするだけです。しかも、言葉の端々から出てくる女性蔑視ともとれる表現。馬場はダメ出しを控えていましたが、U氏のダメ出しはノンストップです。
オブラートに包んで申しますと、終始気分を害された馬場。これ以上U氏の話を聞いていられなくなったので、「用事がある」と言って21時前には解散しました。
ちなみにお会計は「おごらせて!」と懇願されたので、素直におごっていただくことに。U氏にとって馬場は楽しいし、素敵だし、元カノと違ってバカじゃない女だったんだから、当然だよね?
アラサーど真ん中の三十路独女。「東京独女スタイル」編集部で、結婚できる女になるべく日々奮闘中。2015年3月からスタートさせた婚活連載「三十路と婚活」は、1年4ヶ月後に彼氏ゲットという形で幕を下ろしました。電子書籍も出しちゃってます。
週に1回、婚活映画評論家・バーバラ馬場に変身する。
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