【三十路と婚活】こんな男とデートしてみた~SE主任/30歳の巻~
馬場です。三十路です。毎月結婚式に呼ばれている、元気な独身です。
前回の合コンで、危うく既婚者の毒牙にかかりそうになった馬場。完全に捨てコンと思っていたら、なんと他の男性からもアプローチがありました。
SE主任D氏/30歳/年収500万円(推定)
都内金持ち大学卒、都内IT系企業勤務、松戸在住
合コンにいたD氏は、馬場とテーブルを挟んで対極の最も遠い席に座っていました。あまりしゃべらず、食べず、黙々と煙草を吸っていた彼は、ツッコミどころ満載のオイシイ奴でもあったのです。
まず苗字。三種の神器にありそうなおめでたそうな響きで、もしかしたら地方豪族の末裔の可能性がありました。
もう一つは顔。お世辞でもカッコいいとは口が裂けても言えない、槇〇敬之のような個性的なお顔立ちだったのです。
とりあえず合コンを盛り上げようと考えた馬場は、顔と名前をイジりにイジり倒しました。ところがD氏は終始ニコニコ。口数少なに、とても大人な対応を見せてくれたのです。
そして2軒目。ここでもD氏とほとんど話すことはなかったのですが、よほど馬場のイジり方が気に入ったのか、連絡先を交換しようと声をかけてくれたのです。お誘いには基本YESとお答えするのが馬場スタイル。連絡先を交換すると、翌日から毎日メールが来るようになりました。
「お疲れー、今日はどうだった?」
「お疲れー、俺は出張で名古屋に来てます」
「お疲れー、プロジェクトの打ち上げで飲み過ぎた(笑)」
などなど……。他愛のない俺通信ではありましたが、私とコミュニケーションを取りたい想いは伝わってきました。
ブサイクだけどマメ、ブサイクだけど順調に出世している、ブサイクだけど穏やか。最も旦那向きな要素を持つD氏と1週間もやりとりすると、案の定デートのお誘いが。
しかしD氏は、お店も日時も「どうする?」と繰り返すばかりで、全く音頭を取ろうとしてくれないのです。今までの馬場なら見切りをつけてしまいますが、男性に優しくするのもトレーニングのうち。日時の設定からお店の予約まで全て馬場がしました。
そして当日。渋谷の魚介専門店に集合です。自分でお店を予約した手前、遅れず到着できるよう会社を出発しました。ところが……
「ごめん、ちょっと遅れそう」
D氏から、まさかの遅刻の連絡です。ちょっとと言ったくせに、20分経っても姿を現しません。さすがの馬場もブサイクの遅刻にイライラ。結局30分後にやっと登場したD氏は、ヘラヘラ笑いながら「ごめんね~」と飄々とした態度で席に着きました。さすがに殺意が込み上げましたが、まずは彼の話を聞くことに。
D氏によると、帰る間際に上司の立ち話に付き合わされたとのこと。30歳で主任を任されているくらいですから、よほど気に入られているのでしょう。
気を取り直してビールで乾杯。おなかペコペコの馬場は、早急にオーダーをしたいと思いました。しかしここでもD氏の優柔不断が炸裂。メニューを見たまま考え込む上、オーダーが決まっても店員さんを呼べないのです。「すみません!」と手を上げることはおろか、店員さんを探すことすらしません。
恋愛マニュアルでは「男性に決定権を委ねよ」とありますが、もはやD氏に好かれたいとも思わなくなった馬場は、「すみません!」と思いきり店員さんを呼び、オーダーをしました。
そんなシャイなD氏も、お酒が進むと徐々に饒舌になり、話題は仕事から恋愛遍歴へ。なんとD氏は今まで3名と交際し、全員4年近く付き合っていたそうです。つまり、馬場より恋愛玄人。ブサイクだからとナメていましたが、恐ろしい魅力の持ち主のようです。一気に興味が湧いてくると、追い打ちをかけるような出来事が。
「これ、この前名古屋出張に行った時のお土産。あ、でもこれで喜んでくれるかわからなかったから、これも……」
なんと、名古屋名物ひつまぶし茶漬けと、小倉ラングドシャのダブルプレゼント!おしゃべりが不得意な分、とことんマメなようです。さらにお会計もD氏の完全おごり。女性に対する優しさと羽振りの良さが、恋愛玄人たる所以なのかもしれません。
そして終電の時間になり、D氏と並んで駅に向かっていると……妙に私に体をピトッと寄せてきました。そして耳元で、
「今日、帰るの?帰らなくていいんじゃない?ねぇ、帰らなくていいんじゃない?」
と、鼻息荒く、しつこく誘ってきます。なるほど、夜の方も積極的なよう。
しかし、意外と貞操観念が固い馬場は、ちょっと多めにお土産をもらったりおごってもらったくらいではなびきません。「明日仕事だから」と笑顔でごまかしても、「大丈夫だよ。本当に帰らなくていいんじゃない?てか帰るの?」をリピートします。
どんなに優しくても、しつこい男は嫌いです。
何度かデートすれば、D氏のいい面がもっと見えて、彼の誘いにもYESと言えるかもしれません。でも、毎回こんなことを言われるなんてウンザリです。というか、生理的に気持ち悪くなってきてしまいました。とてもじゃありませんが、D氏とキスするなんて絶対ムリ!
こうして、今年一番結婚に近い男性との縁を断ち切った馬場。終わりの見えない婚活は、まだまだ続きそうです。
アラサーど真ん中の三十路独女。「東京独女スタイル」編集部で、結婚できる女になるべく日々奮闘中。2015年3月からスタートさせた婚活連載「三十路と婚活」は、1年4ヶ月後に彼氏ゲットという形で幕を下ろしました。電子書籍も出しちゃってます。
週に1回、婚活映画評論家・バーバラ馬場に変身する。
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