【三十路と婚活】こんな男とデートしてみた~クリエイター/34歳の巻~
馬場です。三十路の独身も、板についてきてしまいました。
「婚活をしない婚活」を実践中の馬場。とはいえ、出会いは常に求めているので何かしらお誘いがあれば参加しています。
そんなある日、以前マッチングアプリで連絡をとっていた男性からお誘いが。
自称クリエイターD氏/34歳/年収不明
馬場にとってのマッチングアプリは「旦那候補とデート」するためのツール。純粋な婚活の一つとして活用していたのですが、そんな中、「人脈を広げるため」に婚活アプリに登録している人もいるようです。
それがD氏。黒縁メガネにヒゲ、そしてオシャレな蝶ネクタイを付けて明後日の方向を見つめているプロフィール写真は、いかにもクリエイターという雰囲気。
彼のプロフィールには、「普段出会えないような人とお話ししたいです。お付き合いすることは前提にしていませんので、ご了承ください」という、ご丁寧で堅苦しい注釈がありました。それなのに、絶賛婚活中であるとアピールしまくっていた馬場に、なぜかコンタクトをとってきたのです。アプリを通して数回やりとりをし、LINEを交換。しかし話が盛り上がらなかったので、連絡をストップさせてしまいました。
そんなある日、「ご無沙汰しております。よかったら、一度お茶でもしませんか?」とD氏から連絡が。「お誘いには120%参加する」が今年のモットーですから、快諾。本当に「人脈を広げたい」だけなのか、この目で確かめることにしました。
デート当日。本日は、夜の新宿が主戦場です。
指定された場所は、D氏がチョイスした「セレブ御用達のコーヒー」を提供する喫茶店。待ち合わせ時間より早めについたので、先に入店することにしました。
夜の喫茶店には、打ち合わせをする人、勉強をする人、仕事をする人などで8割ほどの席が埋まっています。しかし、椅子のクッションは破れ、床には年季を感じる傷が目立つ雑多な店内は、とても「セレブ御用達」とは言えない雰囲気です。店員さんに奥の席を通されると、斜め前の席に見覚えのある男性が。まぎれもなくD氏。しかも、
女と向かい合って話しているじゃ~ありませんか!
軽くパニックになりながらも、指定された席に着席。冷静になるためにお水を飲みながら観察していると、にこやかに話すD氏に対して女性は猫背で終始うつむき加減。何かの資料を見ているようです。その不自然な姿に不安を覚えた馬場に、ある考えが浮かびました。
まさか……怪しい聖水か壺を買わされる!?
「人脈」という名の「ネズミ講」要員を探しているのでは!?
恐怖を感じて馬場が席を立つと、同時にD氏も「ありがとうございました」と言いながら笑顔でスタンドアップ。そして、女性をリリースしたD氏とバチッと目が合い、「お待たせしました」と人工的な笑顔を向けられたのです。
ひぃぃぃ!逃げられない!
私がいたことをずっと見ていたかのようなスムーズな対応は、紳士的というよりも不気味。そして、さっきまで見知らぬ女性が座っていた席に馬場を通したのです。不信感MAXの私はコートも脱がず、バッグを胸の前に抱えたまま着席。さっきまで座っていた女性の生暖かさが残る椅子に腰かけました。
馬場「あの……さっきの女性は……?(震)」
D氏「仕事の打ち合わせをしていたんです」
馬場「どどどどど、どんなお仕事の?(震)」
D氏「これからやりたい伝統工芸に関するプロジェクトについてです」
竹でも入ってるんじゃないかと思うほどピンとした姿勢、あまりにも爽やかな笑顔、そして蝶ネクタイ。誠実そうな見た目の男性はどちらかと言えばタイプですが、今回に限っては不信感が募るばかり。そんな馬場の警戒心を察してか、D氏は積極的に話かけてきてくれました。
「ライターを始めたきっかけは?」
「どんな記事を書くんですか?」
「今後の目標は?」
「仕事にやりがいはありますか?」
純粋に誠意を持って接しようとしてくれているのかもしれませんが、馬場の目に映るのはヒツジの皮を被ったオオカミ。いつ聖水や壺のパンフレットを出してくるかとビクビクしているため、心のガードも外せません。
そんな尋問のようなデートが1時間ほど過ぎると、D氏が一言。
「馬場さんはとても面白い人ですね、合格です。せっかくですから、Facebookのアカウント教えてください」
ご、合格ぅ!?これって面接だったの!?
聖水や壺は売りつけられませんでしたが、不覚にもD氏のお眼鏡にかなってしまった馬場。うまい言い訳が思い浮かばなかったので、これまた不覚にもFacebookでお友だちになってしまいました。
そして席を立ち帰ろうとすると「あ、馬場さんの分の伝票は分けてあるので、レジに持って行ってください」と自腹を要求。誠実なんだかうさん臭いんだかよくわからないまま、D氏とのデート……ではなく面接は終了しました。
結局D氏の本当の姿はわかりませんでしたが、とりあえず馬場には婚活ツールは合ってないということはわかりました。
アラサーど真ん中の三十路独女。「東京独女スタイル」編集部で、結婚できる女になるべく日々奮闘中。2015年3月からスタートさせた婚活連載「三十路と婚活」は、1年4ヶ月後に彼氏ゲットという形で幕を下ろしました。電子書籍も出しちゃってます。
週に1回、婚活映画評論家・バーバラ馬場に変身する。
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