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【三十路と婚活】こんな男とデートしてみた~マッチョ系SE/43歳の巻~

三十路と婚活

馬場です。
年内に結婚の予定がない、三十路の独身です。

前回の筋肉アラフォー男子たちとの合コンで、1人の男性とデートの約束を取り付けた馬場。
クリスマスを目前に、彼氏ゲットまであと一歩のところまできました。

マッチョ系SE/43歳/年収600万円(推定)

先日の合コンで出会った男性の中で「まぁイケる」と判断したのがN氏。イカつい外見に反してシャイガイというギャップを持ち合わせたアラフォー男子です。そんな照れ屋な彼も一回り年下の女から連絡先を押しつけられる猛攻には屈し、「デートのお誘いです」と自信満々にメールをくれました。

あっはっは!
男なんてチョロいチョロい!

もう9割9分5厘の確率で落としたも同然。一発デートすりゃあ~陥落ですわ。合コンから1週間後に早速デート日を設定した余裕のよっちゃん、もとい余裕の馬場ちゃんは、世界征服を達成したかのような恍惚感に包まれながらフリー最後の日々を過ごしました。

デート当日。
本日のN氏とのデートプランは、二人の共通の趣味である映画鑑賞を夕方に楽しんでから、彼オススメのレストランでディナーという流れです。しかし、

あれ?デートがだるすぎて行きたくない。

今まで楽しみにしてきたのが嘘のように、体を動かすことすら億劫になってしまったのです。
「きっと私は、緊張しているだけなんだ」
今まで実りあるデートをしてこなかったから、素敵な男性に会えることに緊張しているだけなのでしょう。そう自分に言い聞かせ、重~い足取りで待ち合わせ場所である新宿の映画館に向かいました。
ところが……。

映画館が近づくほどに「行きたくない」という気持ちが強くなってきたのです。自分でもなぜなのかわかりませんが、N氏に会いたくなくて会いたくなくて震えるほど。しかし彼からは、「映画のチケットを買って、ロビーにいます」と連絡までもらっていました。ここでドロンしたら、人としてダメです。三十路の大人としてきちんと対処すべく、N氏の元に向かいました。
清潔感あるシャツにジーンズというシンプルな出で立ちのN氏は、劇場に入る前にドリンクまで買ってくれるジェントルマン。しかも座席は、中央列のど真ん中というベストポジションです。絶対いい人に違いなのに、体臭がちょっと……。

臭いわけではないのですが、濃いめの汗のニオイが気になって仕方ないのです。約2時間の映画の間も、彼の方に体を傾けることができず、どんどん心の距離は離れていきました。

映画が終わるとディナーの時間。きっと話せばN氏の良さがわかるはずです。しかもN氏は「映画が好き」と言った馬場の言葉を覚えており、映画をモチーフにしたお店をサプライズで予約してくれているとのこと。でもね、悪いんだけどその店、

予想ついてるし。

向かう道のりから推測は確信に変わり、到着して「ここです!」とドヤ顔で紹介された時には「あぁ、やっぱり」と落胆しか感じることができませんでした。

あれあれ?馬場おかしいぞ?
「喜び」を感じられなくなってしまったのか!?

彼の気持ちを素直に受け止められないまま、エビと揚げ物がメインのディナーがスタート。お互いの共通の趣味である映画の話をすれば盛り上がるはずです。

「馬場は、洋画も邦画も大好きなんです」
「僕は洋画しか観ないな」
ジブリは観たことあるんじゃないですか?」
「ないです」
「!?」

全く話がかみ合いません。とは言え、好きなジャンルが違うくらいは全然OKです。そこで彼の好みを聞きました。

「どんな映画が好きなんですか?」
「ジャン=クロード・ヴァン・ダムっていうアクション俳優が好きで」
「ああ、彼の『レクイエム』って映画は面白かったですよね!」
「それは知らないな……」
「え……じ、じゃあどの映画が好きなんですか?」
「『No なんとか~』っていう、DVD化されていない映画が好きなんです」

DVDになってないなら観れねぇし!

馬場は好奇心が強い方なので、本来なら自分が知らないことを知っている男性に興味が湧きます。しかし、どんなに話してもN氏との会話が楽しくないのです。さらに、前回の合コン会場が薄暗かったせいか、白日の下に晒された彼の顔のシワ、毛深さ、色黒さにガッカリしている自分がいます。
せっかく婚活リハビリを経て改心できたと思ったのに、結局人の「欠点」ばかりを見ているようです。そんな自分に気付いてますますテンションが下がった馬場は、同時にN氏への興味も失ってしまいました。

この気持ちはN氏にも伝わってしまったはず。さぞ不愉快な思いをさせてしまっただろうと思ったら、なんと全てごちそうしてくれただけでなく、別れ際に「プレゼント」までくれたのです。しかもそれは、連れて行ってくれたお店がモチーフとなった映画と、N氏が感動したという映画のDVD。

こんなに素敵な人の欠点しか見えないなんて、きっと馬場の心はになってしまったんだ。

申し訳なさと情けなさで、N氏がくれたDVDは未だに開封することができません。自分のひねくれた性格を改めて知った馬場は、三十路のクリぼっちを受け入れる覚悟ができました。

馬場チエコ

アラサーど真ん中の三十路独女。「東京独女スタイル」編集部で、結婚できる女になるべく日々奮闘中。2015年3月からスタートさせた婚活連載「三十路と婚活」は、1年4ヶ月後に彼氏ゲットという形で幕を下ろしました。電子書籍も出しちゃってます。

週に1回、婚活映画評論家・バーバラ馬場に変身する。

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