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【三十路と婚活】こんな男とデートしてみた~続・国家公務員/30歳の巻~

馬場です。
気付けば三十路です。

8月もまもなく終わり。夏の思い出を作れなかったなと反省していたら、思いがけないデートのお誘いがありました。

デート後のやりとりについて~国家公務員Aクン~

MARCH大・難関理系学部卒、都内にて研究職の公務員として勤務、都内在住

先日一度デートをした、馬場の初恋の君Aクン優良物件であることに間違いはなかったのですが、腑に落ちない点が多々ありすぎて遠慮させていただきました。しかし先日、突然連絡があったのです。

「今度の土曜、空いてる?というか空けといてほしいんだ」

NOと言わせるスキを与えないメッセージにビックリ。とりあえずその日、馬場はヒマなので「空いてるけど、どうしたの?」と質問してみました。すると、

花火大会のチケットがあるんだ。一緒に行かない?できれば浴衣を着て欲しいな」

なんということでしょう。

優良物件からお誘いが来たではありませんか!
前回は「生理的にムリかも」と思いましたが、優良物件からお誘いが来るなら断る理由はありません。なんせ馬場のポリシーは「欲しがりません、勝つまでは」ですから、迷わず「行く行くー!」と返事をしました。

花火大会当日。
もしかしたら、優良物件と結婚できる千載一遇のチャンスかもしれない。

そんな期待を胸に、Aクンの希望通り、馬場は浴衣でデートに臨むことにしました。当然自分で着付けはできないので、近所の美容院でヘアセット込みで予約をして……。

気合い200%の状態で武装した浴衣姿の馬場は、それはそれは素ん晴らしいものでした。その証拠に、すれ違う人全てが馬場を振り返りました。そう、それだけ美しいものだったのです。

そして、Aクンとの待ち合わせ時間。地元の駅が集合場所でした。

馬場を見た彼は、一瞬息を飲んだように立ち止まりました。見目麗しい馬場の姿に、びっくりしてしまったのでしょうか。馬場をじっと見たきり、しばらく声をかけてくれませんでした。

「お……おぅ」

かろうじて聞き取れたAクンの動揺たるや、ハンパありません。理系男子にとって、自分のためにここまでしておめかししてくれたら、男性は嬉しくないはずありませんから。

そして、2人で花火大会会場まで電車で移動しました。その間もAクンは、馬場をお姫様のように接してくれました。例えば馬場が「のど渇いたな」と言えばペットボトルのお茶が出てくるし、手がベㇳついてきたと言えばウェットティッシュが出てきます。さらに馬場が「暑い」と言えば「オレ、風は起こせないけど……」と言いながら両手をバタバタさせて風を起こそうとしてくれたのです。

こんなの初めて。
こんなに馬場に尽くしてくれるなんて、初めて。

前回のデートで「Aクンは生理的にムリ」と言ってましたが、花火大会会場に来る頃にはその言葉を撤回していました。だってその会場は、有料チケットの座席だったのですから。

さらに着席する時「馬場ちゃんの浴衣が汚れたらいけないから」と言って、バー●リーのハンカチを広げたではありませんか!もうね、確信しました。

馬場のことが好きなのだと。

それから花火大会が始まると、なぜかAクンは私の写真ばかり撮りました。それだけ、キレイな馬場の姿を残したかったのでしょう。その気持ちに応えようと、精いっぱいのキメ顔で花火を見つめました。さらにAクンは、とても楽しそうに歓声をあげて、花火を楽しんでいたのです。

花火大会終了後。あとはAクンからの告白を待つのみとなりました。

帰り道でも、馬場の浴衣が着崩れしないように満員電車でスペースを作り、席が空けば馬場を座らせてくれたAクン。前回のデートでこれでもかと言うほどダメ出しをしてきましたが、こんなに馬場に尽くしてくれるのであれば、全てのマイナスポイントに目をつぶろうと決心しました。むしろ、プラスポイントを差し引いてお釣りがくるほどです。

そしていよいよ解散の時。
お互い近所なので、私の最寄り駅で解散することになりました。電車から降り、馬場が「今日はありがとう」と伝えると、Aクンも答えてくれました。

「オレも楽しかった。どうもありがとう。
ところで、独身の後輩を紹介してくれない?そろそろ結婚を考えないといけないからさ」

おい、てめぇ何ヌカしてやがるんだ。
私に言うな!

こんなに馬場に尽くしておいて、後輩を紹介しろと?ということは、今日の一連の奉仕は自分が優良物件であることのアピールでしかなかっただったの?
しかも馬場が17年前にAクンのことを好きだったことは知っているのに言っているのか?

怒りしかありません。

大人ですから「ちょっと考えさせてね」と言ってその場を切り抜けましたが、しょせん男は若くて専業主婦希望の女が好きなのかと思ったら、泣きたくなりました。

当然その後、Aクンに返事はしていません。
こうして馬場の初恋は、幕を閉じたのでした。

馬場チエコ

アラサーど真ん中の三十路独女。「東京独女スタイル」編集部で、結婚できる女になるべく日々奮闘中。2015年3月からスタートさせた婚活連載「三十路と婚活」は、1年4ヶ月後に彼氏ゲットという形で幕を下ろしました。電子書籍も出しちゃってます。

週に1回、婚活映画評論家・バーバラ馬場に変身する。

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