人前でイチャつくバカップルを「わいせつ罪」で訴えることはできるのか?
日本ではあまりみない光景かもしれませんが、海外では、別れを惜しんで熱~いキスやハグをするカップルが邪魔になり、電車に乗り遅れてしまったり、発車ギリギリに駆け込む羽目になるケースがよくあるそうです。
急いでいるときに“2人だけの世界”に入り込む人たちのせいで、大切な約束や会議に遅れてしまったら、イライラも積もりますよね。
そんな国民の気持ちを察してか、イギリスのウォリントン・バンクキー駅では、数年前から「キス禁止」の標識が設置されるようになったそうです。
違反をしても、罰金が課せられることはないそうですが、日本では、公共の場で人目を気にせずに過剰なスキンシップを取るカップルに罰則を与えることはできるのでしょうか?弁護士の島田先生に聞いてみました。
キスやハグ程度であればOK!それ以上は罪に問われることも
日本でも、週末の駅の改札には愛を確かめ合うカップルが多いように思いますが、人前でキスやハグをした場合、公然わいせつにあたることはあるのでしょうか。
「刑法174条は、公然わいせつ罪について、『公然とわいせつな行為をした者は、六か月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する』と定めています。そして、『わいせつ』とは、『徒ら(いたずら)に性欲を興奮又は刺激せしめ且つ(かつ)普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの』をいいます。
難しい言い回しですが、要は、その時代の一般的な考え方からして目に余るほど性的で、刑罰をもって抑制しなければならないような行為であれば、公然わいせつにあたるということになります。
今の時代、街中でのキスやハグ程度で公然わいせつにあたることはないでしょう」(島田先生/以下同)
なるほど。キスやハグ程度では、罪に問われないということですね。
では、車の中やエレベーターでさらに濃密なスキンシップを取った場合にはどうなるのでしょうか。
「もちろん、テンションが上がりすぎて全身をまさぐり始め、服をはだけさせたり、性器を露出させたりということになれば、公然わいせつにあたります。
また、公然わいせつとまではいえなくとも、軽犯罪法1条20号(公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方で、お尻や太もも、その他身体の一部をみだりに露出した者)にあたることがあります」(同)
軽いスキンシップ程度で罰則が与えられることはないとはいえ、盛り上がりすぎには注意が必要ということですね。
いずれにしても、海外と比べて日本は「人前で男女がイチャイチャするのはマナー違反」と考えるお国柄。どんなに恋やお酒に酔っていたとしても、冷静な自分を見失わずにしたいですね。
【島田さくら・プロフィール】
弁護士法人アディーレ法律事務所 所属弁護士(東京弁護士会所属)。自身の過去のオトコ運の無さからくる経験(元彼からのDVや、妊娠が発覚した翌日にカレから別れを告げられたこと)をもとに悩める女性の強い味方として男女トラブル、さらには労働問題などを得意分野として多く扱う。シングルマザー弁護士として、相談者の悩みを解決するかたわら、家庭では子育てに奮闘している。パーフェクト離婚ガイド、アディーレ法律事務所H
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