「迷惑な『クソバイス』の対処法は?」対談・犬山紙子×東香名子・前編
<2015年ヒット記事傑作選>
友人がアドバイスしてくれているんだけど、なんかモヤモヤする……。そんな経験したことありませんか。それは「 クソバイス 」かもしれません。今回は、新刊「言ってはいけない クソバイス 」(ポプラ社・刊)の著者・犬山紙子さんと編集長の東香名子が「 クソバイス 」について徹底討論します!
「負け美人」でおなじみ犬山紙子による新語「 クソバイス 」とは
犬山紙子(以下、犬):クソバイスとは、一番ストレートに言うと「クソみたいなアドバイス」です。一見、相手のために言っているような雰囲気なのに、上から目線で、よく聞くと「悪口かな?」とモヤモヤしてしまうものになります。
東香名子(以下、東):なるほど!相手のために言ってると装って。
犬:そうです。本来は相手の事情を知った上でアドバイスするものですが、相手のことを考えずに頭ごなしに「早く結婚しろよ」と言ってきたり。
東:あ~それは、かなりありますね。シングルハラスメント!
犬:実際、私もずっと受けてきて、不満がたまりにたまってました。それで「コイツのアドバイスなんかモヤるし傷つく」というエピソードを集めて、クソバイスを名付て雑誌の連載やツイッターに書いたら反響が良くて。みんな相当たまっているんだな、と思いました。中でも多かったのは恋愛系のクソバイスですね。
東:あるある。私的にイラッとするのは、今まで恋愛経験ない子が急に結婚したら、遙か上目線で「男って~頼られるのが好きなの。あと、守ってあげたくなるような女にならなきゃ!そうすれば東さんもすぐに結婚できるよ」ってアドバイス。
犬:あるある。それ、まさに一番典型的なクソバイスですね!
バイザー心理は「アナタよりいい女なの」という上から目線
東:それとか「そんな仕事してどうすんの?女の幸せは結婚だからね。ウンウン」って目をキラキラさせて言われたこともあるし。あれもモヤっとしました。クソバイスしてくる人の心理って一体なんなんでしょう?
犬:クソバイスしてくる人、通称「バイザー」と呼んでいますが、彼らの心理は人それぞれ、上に立って気持ちよくなりたかったり、周りもそうだからと流されていたり、ただの無神経な時もあるし、照れ隠しな時もあるし。
でも東さんがおっしゃった「女の幸せ~」は「アナタより私のほうが幸せなの」「私のほうがいい女なの」という気分に浸りたい、ということだと思われます。マウンティングですよね。バイザー自身も、過去にこういったクソバイスを受けていて、不満がたまっていたという可能性大です。
また女性だけじゃなく、男とかも平気でクソバイスしてきますよね。「本当の恋をしたことないんでしょ」「女子はぽっちゃりしてたほうがモテるから、もっと太りなよ」「酒豪の女はモテないよ」と言ってきたりなど。
東:うわ~うざいうざい。
犬:この手のバイザーはですね、女性とスキンシップをとりたいけど、恥ずかしいからクソバイスしてしまうパターンかと。小学生みたいですよね。彼らは「もう~ひどい!」っていうのをやってほしい。女から見れば「やるか!」って話ですけどね。
それでも時々「はぁ~私ってだめなのかな」ってサービスで言ってあげる。やりたくもないのに、やる、このやさしさ。もはや接待ですよ。普通に話しかけてくれたら普通に楽しく話せるのに、何故クソバイススタートなんだろうっていう。
東:あるある!ちなみに犬山さんはすでに「卒独」されていますが、独身時代はどうでした?
犬:私もアホみたいにクソバイス受けてまして。女子って自虐のスキルが異様に高いじゃないですか。そうすると余計クソバイスの餌食になるんですよ。
東:たしかに。それはありますね。
犬:お互い集まって自虐しあうのは楽しいけど、運悪くバイザーの前で自虐すると、それを真に受けて生き生きとクソバイスしてくるんですよね。
東:困った話だなあ。
誰でも クソバイス を言った経験あり?
犬:こわいのが、意外と自分もバイザーだったりするんですよ。私もそうです。
ある日彼氏のいない子がいて、地味な服を着てたので「彼氏いなかったら、そのズボンを捨てて、まずはスカート穿いてみようか!」なんて。超余計なお世話ですよね。クソバイスの最たるもの。あっちはファッション変えたいとか、彼氏がほしいなんて相談してきてないのに。
自分が気持ちいいからと、ファッションアドバイザーの気分になってクソバイス。1年後くらいにふと思い出して、「あの時はごめん」ってメールで謝りましたよ(笑)。
東:思い出してみたら、私もバイザーかも。アドバイス求められてもないのに「彼氏作りたかったら、まずはジャニオタやめないとね!ファイト」みたいな。やばーい!
犬:ははは、やっちゃってますか。相手のことを思ってる分にはいいんですが、こっちが気持ちよくなってたら、おやおや?って。親しい間柄でのクソバイスは注意ですよね。「なんで合コンうまくいかなかったんだろう~?」に対する突然のクソバイスとか。
東:やばい、超やってる!恋愛コラムニストってそういう仕事だから、つい私生活でやってしまいません?
犬:わかります。私も「負け美人」を書き出した時、雑誌などの企画で「恋愛のアドバイス教えて」って依頼がきて、ちょっと慢心するんです。デビューして何ヶ月かは調子こいてクソバイスしてましたね。
東:聞けば聞くほど、クソバイスされたときのモヤモヤが蘇ってくるようです。
犬:聞いてもないのに不要なアドバイスしてくるのが厄介ですよね。アドバイスのテイを取ったら失礼なことを言っていい、ということがはびこってる。だから「クソバイス」という言葉を知ってもらって、撲滅されてほしいですね。みんなが知れば「それ、クソバイスだよね」と流せますし。
東:たしかに、この言葉でさらっと切り返しできそうですね!
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コラムニスト。東京独女スタイル編集長を歴任。1983年生まれ。独身女性の視点から、恋やライフスタイルを分析したジャーナリスティックなコラムを得意とする。雑誌「デートスペシャルなび」で連載中。テレビ、雑誌、ラジオ等各方面で活躍中。電子書籍「モテる!ソーシャル恋愛術」「ここで差がつく街コンテクニック」等。趣味は鉄道。
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