職場サバイバル!キャリア女の敵は男?女?
I美はシステムエンジニア28歳。男性ばかりの職場で、女性というだけで気遣われることに甘える一方、反発も覚え始めていた。
ハードな職業とソフトな職場
システムエンジニアは、いまだに「コンピュータ関係の横文字の職業でかっこいい」と思う人や、「数字や暗号を書いてる」など、仕事内容に漠然としたイメージがつきまとわれている。
オフィスで一日中パソコンに向かうものの、システムエンジニアが扱うのはスーパーのレジや電車のダイヤなど、生活の最前線だ。
残業や休日出勤の多いハードな職業で、女性の割合は少ない。
実際、課では紅一点のため、I美は男性社員にちやほやされている。
その環境がI美にとっては良くもあり悪くもあるという。
シンデレラから意地悪な継母に?お局様と呼ばないで!
「女の子なのに遅くまで残って大変だろう」
「コーヒー淹れてくるよ」
だが、臨時に雇った派遣社員やバイトに若い女の子がいると、途端に見向きもされなくなるという。
I美が彼女達に少し仕事上の注意をしただけで、男性社員はI美を「お局様」呼ばわり。
若い彼女達の味方になってI美を責める。
「なら顔採用で使えない子とるな!って話よね」
あからさまな男性陣の態度に、I美の仕事へのモチベーションは下がってしまう。
男性社会で生きるメリット、その結果
若い子がいると自分の女としての株が下がる――
彼女達と張り合うつもりはないが、不当に扱われているという気持ちにI美はなった。
これまで女性であるためにI美は甘やかされてきたが、今となってはその扱いを歯がゆく思う。
システムエンジニアとしての実力ではなく、性別を加味されて仕事を評価されてきたのではないかと、自分のキャリアへの自信が揺らぐ。
この職場でこれからもやっていけるだろうか――I美は冷静に考えた。
女が嫌う女、女が目指す女
若い子達はあくまで臨時で雇っているだけで、すぐにいなくなる。
彼女達がいなくなっても男性社員からI美の「お局様」のイメージは消えないだろうが、女性がI美一人になれば、彼らの態度はまた軟化するだろう。
第一、「お局様」と呼んでくるのは男性社員のみである。 若い子達は立場上、彼らに同調しI美に恐縮しているだけである。
彼女達は知っているのだ。いずれ年齢を重ね、自分達もI美と同じ立場になることに。
若さをウリにする女はひがみの対象になるだけだ。
同性から好かれるのは、性別に媚びない、年齢に見合ったキャリアを持つ「仕事のできる女」である。
「お局様でいいじゃない」
そう呼ばれるだけの勤務経験も実績もあるのだから、とI美は前向きに気持ちを切り替えた。