ゲイにレズビアン、ニューハーフ、オカマ、オナベ。呼び方いろいろな性の中間族たち
世間の認知も手伝って、昔より幾分カミングアウトがしやすくなった。ただ、人よりも言葉が先に出てきているために、一体誰がどのタイプなのか分からない人が多い。さらに言えば当事者さえ分からなくなっているのだ。
今回はニューハーフやオカマ、オナベやレズの違いについて考えてみたい。
Contents
ニューハーフの始まり~桑田圭介さんとベティママ~
ニューハーフという言葉が誕生したのはまだ数十年前のこと。
大阪でショーパブを経営するベティのママが、桑田圭介さんとラジオ出演したことがきっかけとなった。
男と女の間の、新しいハーフということから、桑田さんがニューハーフという言葉を作り出したのだ。
もともと性の間で生きる人には、ゲイなどが使われてきた。
ゲイは主に、男性同性愛者に対して使われている。女性の場合はレズビアンとなる。
ニューハーフも元の性が男の場合に使われ、女の場合はオナベと言われている。
ただし、体を心の性に変えているか否かは、関係ないとされているので厄介なのだ。
ゲイから始まった日本独自の性の中間文化
世界で一般的に使われているのは、ゲイやレズビアンである。
日本では侮蔑の意味も込めてオカマやホモという言葉が広く使われてきた。
どちらも、自分が男性であることを理解していながら、性の対象を男性としている人を指している。
では、ニューハーフとの違いは?と聞かれたら、生まれたときから自分の心は『女』だと思っており、体と心の性が一致していないことだろう。
ここで“だろう” と曖昧な表現であるのは、実はニューハーフにも確かな定義がないからなのだ。
現在では、心と体の性が一致しない人を一律してGID(性同一性障害)と言うようになっている。
社会的にはGIDという呼び方が通用し始めているが、当の私達は未だに受け入れがたいところもある。
それはGIDが精神の病名として扱われているからだ。果たして私達は病気なのだろうか?これは永遠に続く難問だ。
レズビアンとオナベの世界~世に出にくい深いワケ~
「付き合う」という関係で手に入るものは何だろう。有名人が「自分はゲイだ」と公表している中で、レズビアンやオナベといった人達は公表せずに潜んだままだ。
なぜ公言できないのか?
ここには女性特有の複雑な理由があるようだ。
一つ目の理由は、社会的立場の格差にあったように考えられる。
男性同性愛者は仏教や一部のキリスト教では黙認され、さらには制度化された歴史がある。だが女性同性愛者はその限りではなく、完全なるタブー扱いを受けたからだ。
二つ目の理由は、子を宿す神聖な存在となっていることだ。
倫理的な拘束がカミングアウトへとつながらない、これが一番の原因かも知れない。
また手術による適合が難しいことも大きい。男の場合は簡単に言えば“切る”だけで良いが、女性はそうはいかない。
これだけでも、女性同性愛者の壁はまだまだ高く分厚いものなのである。
言葉の先行による混乱と氾濫~ニューハーフは肩書き!?~
新しい言葉を生み出すのが得意な日本人。これが性の中間族に対してもたらしたことは、混乱と氾濫である。
ホモ、オカマ、ゲイボーイ、ミスターレディ、ニューハーフ、レズ、オナベ、オコゲなど、あまりにも言葉が多すぎる。
正直に告白すると、私はニューハーフなのか?それともオカマなのか?何ナノか分からないのだ。
私達でさえ、自分が何者なのか分からない。これが混乱である。
そして分からないからまた、新しい言葉を作って自分の居場所を探す。これが氾濫である。
その結果が、ニューハーフや女装家といった言葉の1人歩きである。
私の考えはこうだ。ニューハーフはエンターテイナーであり、女装家は新しいファッションスタイルの提供者。
心の形を言葉の枠にはめることが難しいのであれば、肩書きのように考えてはいかがだろうか?つまり、ここでの私は“ニューハーフ・ライター”であるように。
それでもこの混乱や氾濫は当分収まる気配はない。