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素直になれるのは母親だけ、心の駆け込み寺はやっぱり実家か!?

実家女子はワケあり物件か否かを論じてみたい。今回は「実家には暮らしていないけれど、あなた、気持ちは実家にいるんじゃない?」と感じる隠れ肥満ならぬ隠れ実家女子の生活をご紹介します。

母親との電話はI子さんの癒しタイム

今回の主役は飲食店で長年接客業をしているI子さん(32歳)。地方出身の彼女は都内の駅チカマンションで一人暮らしをしています。普段は人懐こい笑顔をお客さんに見せて常連さんの評価も高い彼女。

しかし、帰宅するとその表情は一変します。大好きな彼氏に電話をするかのように携帯電話を手に取り、ベッドに直行。I子さんが通話ボタンを押した先は、彼氏でも、友人でもなく「お母さん、もしもしI子やけど」……そう、実家の母親なんです。

「どないしたん?」携帯電話から母親の声が聞こえたとたんに、今日の出来事にはじまり、日頃のストレスや悩み、ハマっているドラマなど、あらゆる話を母親に喋りまくるI子さん。

これはまさしく「先生あのね」状態。小学生の頃、あんであんなに「あのねノート」にプライベートを書き綴っていたのだろう……と、昔懐かしい気分に浸っている場合ではありません。接客時よりも表情豊かにI子さんは毎日1時間、長いときでは2時間ほど喋り通します。

会話をしながら夕食もとり、携帯電話片手で器用にパジャマに着替えることも。いまや特技ともいえる受話器コントロールを駆使すれば、事務職でもコールセンターでも転職できるのでは?

「人と接する仕事なので仮面をキープするのがしんどい。素が出せる家族についつい電話をかけてしまう」とI子さんは振り返ります。

素直になれるのは肉親だけ。I子さんの心の駆け込み寺はやっぱり実家!

I子さんと実母による遠距離恋愛状態の長電話がはじまったのは、三年ほど前。ささいなことで数年間付き合っていた彼氏と別れ、仕事ではフロアリーダーに昇進、日増しに増える仕事のストレスがたまった彼女は友人にグチを吐き出す日々が続きました。

「グチを言える友人が少なくなった」と気付いたのは30代になってから。20代の頃は時間が有り余っていた友人たちも、今では婚活や主婦業で彼女のグチを聞く余裕がありません。

「飲みに行こう」という彼女の誘いをやんわり断り、職場の後輩たちはかつてI子さんがそうだったように同世代同士で交流を深め、I子さん世代の友人は未来に向かって着々と計画を進めているのです。

合コンで男性と知り合ってもグチを話して嫌われることを恐れ、本音を話せないI子さん。その反動でストレスはさらにたまっていく……。

そんなI子さんが駆け込んだ先は、実家にいる母親というお客様相談室しかありませんでした。営業時間は24時間フリー、よほどのことがない限り信頼関係は壊れません。

この駆け込み寺に入って以来、心穏やかな夜が過ごせるのだとI子さんは満足気に話してくれました。

携帯電話の通話無料サービスで隠れ実家女子がさらに増える?

携帯電話の普及によって「離れていてもいつでも話せる安心感」が浸透し、女子の自立への道が遅れている状況もあるようです。

今回の場合、実家女子の特徴だった「猫を可愛がるパターン」は登場しませんが、猫以上に言うことをきく携帯電話と、都合のいい時に呼び出し可能な実母という最強癒し系コンビがタッグを組んでいるのです。

実家への長電話は実家に住んでいるよりも合理的に癒しを得られる秘策ともいえるでしょう。これぞハイテク技術が生んだ悲しき副産物。家族なら24時間無料で話せるソフトバンクの「ホワイト家族24」といったお得なプランが生まれるたびに、都内では隠れ実家女子が増えていくかもしれません。

筆者の友人には実家への長電話用にウィルコムの携帯電話を母の日にプレゼントしたという猛者も…。

長電話は実家への依存。実家ラブなら素直に会いに行こう!

可愛ければ良かった20代の若手女子にも戻れず、仕事もすべてを任せられているわけでもない……。I子さんのように行き詰まりを抱えた経験は30代女子なら誰しもあるのではないかと思います。

その悩みやストレスを何かで解消したいと思うのは自然な形ともいえるでしょう。しかし、「実家暮らし」や「実家に長電話」という解消法は「癒し」を通り越して「依存」になってしまう危険性も。

タバコでも、恋愛でも、一度依存してしまうとなかなか這いあがれないものです。実家への長電話に依存しない自分を保つには、「気を紛らわすための実家への長電話は週末だけ」、「話す内容はなるべく明るいものを選ぶ」など、実家に頼り過ぎないルールを設定しておくことが大切です。

「母さん、あのね」からはじまる長電話の終わりを告げるのは、結婚が理由か、実家に戻るという言葉からか…。電話越しで実家で愛をささやくよりも、たまに帰って元気な顔を見せてあげるのが愛のある親孝行ではないでしょうか?

編集部
編集部

女性の生活スタイルやキャリア、社会的課題における有益な情報を提供したい。

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