【毒舌独女】梅宮アンナ「デブは人間じゃない」発言に隠された真意とは?
私はデブだ。
100人中100人が認めるであろう、デブである。
元々、太りやすい方であったが、本格的に太り始めたのは、講談の仕事を病気で休んでから。
治療薬の中に、太りやすくなったり、食欲を増進させたりするものがあったのだ。
その効果にまんまと乗せられ、巨大化。
巨大化すると、歩くのも億劫になり、基本、引きこもり。
慢性的な運動不足に陥る。
これも、デブに拍車をかけた。
今では、立派な巨デブ。
医者からは、合併症が出るので、減量しろと言い渡されているが、デブな自分も悪くないなと思い始めている今日この頃だ。
そんな折、2月3日放送されたテレビ朝日系『金曜★ロンドンハーツ』の企画、『格付けしあう女たち』で、梅宮アンナ(44)が「デブが嫌い」と発言したと耳に入って来た。
更に、自身が太っていた過去を振り返り、「人間じゃない」とまで。
こりゃ、酷い。
普通、思っていても、口に出さないのが、一般的。
なのに、梅宮アンナは、言ってのけた。
それは、何故だろう。
この企画、「人としてダメな女」を格付けするものだったらしく、梅宮アンナは、メイプル超合金の安藤なつ(36)を最下位につけた上で、こう言い放ったとのこと。
安藤なつといえば、身長170センチ・体重130キロと恵まれ過ぎている体格、つまりデブがウリの漫才師。
梅宮アンナは、この「ウリ」を完全否定した形となる。
芸風でもなく、人柄でもなく、ただ「太っている」というだけで、「漫才師・安藤なつ」の存在を「人としてダメ」としたのだ。
これは、如何なものか。
芸人は、もちろん、話術で大衆を笑わせるのが、本筋だ。
それが出来ておらず、その上で、体型維持も出来ていないから、「芸人としてダメ」とするなら、まだ判らなくもない。
だが、安藤なつは、芸人としてダメなほど、話術が下手でない。
また、「ウリ」である体型も維持している。
芸人としては、合格点。
では、人としてダメと言われるような、行いをしているか否か。
彼女のブログやツイッターを見る限り、そんなことは、一切していない。
むしろ、ファンにも芸人仲間にも愛される人柄だと見て取れる。
私は、梅宮アンナが、安藤なつに嫉妬しているとしか思えない。
太っていても「可愛い」と言われ、様々な人に愛される安藤なつの人気が、羨ましいからこそ、憎いと見た。
もし、梅宮アンナが少しでも太ったならば、各方面から「劣化」や「激太り」と叩かれ、仕事も人気も激減する。
それは、彼女がモデルだからだ。
このモデルという仕事の為に、多くのものを犠牲にし、我慢を自らに強いてきたと想像に難くない。
その彼女から見ると、安藤なつは、何と自堕落なと思ってしまうのも、判らなくもない。
けれど、その考えは、自分がしたいと思っていることを自由にやってのけている安藤なつへの羨望と表裏一体ではないだろうか。
「本当は、食べたい」「本当は、ぐうたらしたい」「どんな自分でも愛して欲しい」、そんな梅宮アンナの心の叫びが、「デブが嫌い」という発言につながったと考えるのが、自然だと思う。
哀れだ。
太った自分も愛せない梅宮アンナは、これから死ぬまで、自分を型に押し込め生きていかねばならない。
アレもダメ、コレもダメと自分を制限。
さぞかし、生き辛かろう。
この辛さから抜け出したいのであれば、太っていた過去の自分も「人間だった」と、まず認めることだ。
過去を含めて、今の自分。
自分を大切にしてやると、自然と他人に寛容になれる。
そうすると、嫌いであったデブの存在も気にならなくなる。
デブも人間。
太っていても自分。
これを忘れないでもらいたい。
文・旭堂花鱗(きょくどう・かりん)
講談師/コラムニスト。広島県安芸郡出身。学生時代より旭堂南鱗に師事し、平成13年正式入門。古典講談を中心に学び、初高座は同年「オーク弁天寄席」にて『那須与一』を読む。平成16年、二つ目昇進。説話や昔話をモチーフにした、児童向け講談を多数発表している。講談のほかテレビ出演や講演、雑誌「週刊文春」など様々なメディアで執筆活動を行なう。
コラムニスト/コンテンツライター
広島県安芸郡出身、大阪府高槻市在住。恋愛記事から豆知識、果てはビジネス文書まで幅広く執筆するライター。古典芸能に携わっていた経験もあり、日本文化について少し詳しい。文芸春秋『週刊文春』に載せてもらえたのが人生の自慢。
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