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【毒舌独女】福島差別で食う飯は美味いか?『美味しんぼ』騒動に怒り

小学館発行、週刊ビックコミックスピリッツで連載中の『美味しんぼ』が波紋を呼んでいる。

第604話で、福島県全域で疲労感や鼻血が出ている人が大勢いるといった表現があったからだ。

この話題が耳に入ってきた時、身内に広島原爆の被爆者がおり、被爆者3世でもある私は、瞬時にして頭に血が上った。

「またか!」とも思った。

被爆者を汚いものとする手段の一つとして、よく使われる表現が「鼻血」だからだ。

漫画における「鼻血」の扱いは、決して良いものではない。

性的興奮を覚えた時に、しばしば使われるものであったり、ケンカに負けた側の怪我としてであったり、負の表現が多い。

つまり、間抜けであることを現す記号として、鼻血がよく使われているということだ。

例えれば、女子高生が食パンを咥えて角を曲がると、美少年とぶつかって恋が始まるというぐらい、古典的でパターン化した漫画表現

そのような表現を、デリケートな話題である福島原発の話に持ってきたことに、大きな憤りを覚えた。

そもそも、福島での放射能による健康被害は無いと、国連科学委員会が報告を出している。
(参考:Forbes.com、2013/1/17、『放射線と発がん、日本が知るべき国連の結論』)

なのに、未だに鼻血や倦怠感云々を持ち出すのは、福島県民への差別意識の表れとしか言い様がない。

穢れを福島県民に感じているからこそ、『美味しんぼ』に賛同する「放射脳」な人達は、原作者の雁屋哲を絶賛するのだろう。

現在でも、福島県民への風当たりは強い。
他県民からの差別が酷いという話を、友人の親戚から聞く。

ちなみに、鼻血が出た云々という話は皆無。
現地取材はしていないものの、私の身分や立場を明かしての電話取材なので、嘘は無い筈。

彼女らは言った。
「風評被害に負けず、皆で手を取り合って頑張ろう!」と。

前を向き、未来へ進もうとしている人達の頑張りに水を差したのが、今回の『美味しんぼ』騒動だ。

しかし、『美味しんぼ』の作者と小学館の立場も判らなくもない。

昨今の不況の煽りを受け、出版業界も寒風が吹き荒れている。

何か起爆剤となるものを投下しないと、雑誌も単行本も売れない。

そこで、福島への差別意識むき出しの作品を打ち出した。

それが、目論見通りの大炎上

恐らく、よく売れた。
私も資料として買ってしまったからな!

それに、『美味しんぼ』第604話が収録されている号には、新連載の『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』が。

これを読ませたいが為に、何か花火を打ち上げる必要があったと、私は「読んだ」。

映画化かアニメ化を狙っているのだろう。

『新世紀エヴァンゲリオン』と『最終兵器彼女』と、ハリウッド映画『インディペンスデイ』を足して、3で割った感じ。

映画にすれば、さぞ映える。

私は実際に該当雑誌を手に取り、全てのページに目を通した時から、憤りは小学館への哀れみと変わった。

炎上おめでとう、小学館。

新社屋のローン、頑張って払ってね。

旭堂花鱗

コラムニスト/コンテンツライター

広島県安芸郡出身、大阪府高槻市在住。恋愛記事から豆知識、果てはビジネス文書まで幅広く執筆するライター。古典芸能に携わっていた経験もあり、日本文化について少し詳しい。文芸春秋『週刊文春』に載せてもらえたのが人生の自慢。

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