アンジーの乳房切除手術。自分ならどうする?

ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーがニューヨーク・タイムズに寄稿したショッキングな手記「私の医療的選択(原題:“My Medical Choice”)」が注目を集めている。
内容は、遺伝子検査で特定の遺伝子に変異が見つかったため、遺伝性乳がんの予防措置として左右の乳房を切除し、その後再建手術を受けたというもの。
類まれなプロポーションでファンを魅了し続けてきたアンジーが、美バストにメスを入れることを決意した理由はなんだったのか。
手術の目的は遺伝性の乳がんを予防するため
アメリカでは、女性がかかりやすいがんの2位に乳がんが挙げられ、その中の5~10%を遺伝性乳がんが占める。
遺伝性乳がんは、BRCA1(Breast Cancerの略)、もしくはBRCA2という遺伝子の変異が関係するとされるがん。遺伝性のため、50歳以下で乳がんを発症した身内がいる場合、普通の人より注意が必要とされることがある。
アンジーは、母親、叔母、祖母をそれぞれ若くして乳がんで亡くしているため、自分も高リスクを持つのではないかと遺伝子検査を受けたようだ。結果BRCA1に変異が見つかり、医師から乳がんの発生リスクが87%、卵巣がんの発生リスクが50%と告げられた。
この結果を知り、彼女はすぐにリスクを最小限にするため動き出したと手記にはつづられている。そこには、最愛の子供たちと夫ブラット・ピットに家族を失う不安を与えたくないという気持ちが大きく影響したようだ。
乳房といえば女性らしさや母性の象徴とされたり、ハリウッドスターであればどうしても視線を集めてしまう部分。セクシーな女優としてビッグになっただけに、その美バストにメスを入れる決断には並々ならぬものがあったに違いない。
手術は、約3ヶ月間にわたって3度行われ、アンジーの乳がん発症の可能性は87%から5%未満に軽減した。
日本でも病院への相談が急増
手記の発表後、日本でも遺伝子検査、そして乳房の予防的切除手術への相談が急増しているそうだ。
ただ、遺伝子検査で陽性であっても発病率には個人差があり一生乳がんにかからない人もいるし、切除せずに検査をこまめに受け、早期発見で対処するという考え方もある。
むしろ日本国内では予防的手術を行っている病院は少なく、まだまだ“切らない”考え方のほうがメジャーと言っても良い。予防的切除がすべての女性にとって最適な方法とは限らないため、遺伝的リスクが心配な人は医師や専門家と相談を重ねた上で、慎重に選択をすべきなのだろう。
ちなみに、アンジーの手術には夫ブラピがいつも寄り添っていたとのこと。
慈善活動を積極的に行い、今回手記を発表して乳がん予防の啓もうをしてくれた彼女に称賛を贈りつつ、最高にハンサムで献身的なパートナーがいる心強さとはどんなものだろうとついつい考えてしまう。