『日本人が気づいていないちょっとヘンな日本語』で日本語の魅力を再発見!
「結構です」ってYESなの、NOなの?
「失礼します」はやっぱり失礼?
毎日何気なく話していると、日本語に潜むちょっとヘンな部分や、間違って使っているフレーズへの気づきに、私たち日本人自身が鈍感になっていることがあります。
本書『日本人が気づいていないちょっとヘンな日本語 (日本語再発見BOOK)』(アスコム刊)は、長年日本に住んでいる英語教師デイビッド・セインさんの疑問に、ベテラン日本語教師の長尾昭子さんが答えるという形で、日本語のオカシなところに迫りつつ、改めてそのおもしろさを再発見させてくれる1冊。
さっそく、少し中身を覗いてみましょう!
「結構です」の意味を間違えてドロボー扱い?!
著者は、約30年間日本に住んでいる人気英語教師のデイビッド・セインさんと、欧米人のビジネスパーソンや外交官の間で大人気の日本語教師、長尾昭子さん。
長尾さんいわく、私たち日本人が「当たり前」と思っていることも、セインさんら外国の人たちから見ると、「ヘンだよ、おかしいよ」ということが、たくさんあるそう。
たとえば彼らにとって「結構です」は、肯定なのか否定なのか、非常にわかりにくい言葉なのだとか。
これに対する長尾さんの答えを要約すると、「結構です」には4つの意味があるとのこと(以下あくまで要約で、実際の2人のやりとりはもっと知的でウィットに富んでいます。あしからず・・・)。
1番目は「結構なお品をいただきまして」など、何かを褒めるときに良く使う、英語で言う「Wonderful」。
2番目は、「お支払いは後で結構です」などで使われる、「No problem.」いわゆる「問題ない」という意味。
3番目は、英語で「No, thank you.」という気持ちを表す「いりません」という否定の意味。
4番目は、日本語で「かなり」や「とても」、英語で「Quite.」というニュアンスを伝えたいときの副詞としての使われ方。
この4つの中で、3番目だけが否定の意味になるために起こった悲劇(デビットさんの実体験)は、ユーモアあふれる漫画で披露されています。
それは、好意から老人の荷物(カート)を押してあげましょうかと提案したセインさんが、「結構です」という返答を肯定の意と勘違いし、荷物に手をかけた瞬間「ドロボーッッッ!」と叫ばれたというエピソード。
セインさんの日本人には思いもよらない疑問や経験はときに抱腹絶倒! そして、それを長尾さんが解き明かしていくたび、読者も日本語のおもしろさを再発見し、心地よい刺激を感じることができるんです。
日本人も知らない、日本語の不思議!
・本来は「いい意味」で使っていたはずの「いい加減」、なんで悪い意味になってしまったの?
・「全然OK」は間違った使い方と言われるけど、実は間違いではないって知っていました?
・「白い」「赤い」「黒い」と言うけど、同じ色でも「緑い」「紫い」は何でダメ?
もし外国の人に質問されたら、ちゃんと答えることができるのかしら?
そんな、普段当たり前に使っていたのに実はずーっと間違っていた日本語や、これまで全く意味や由来を知らずに使っていた単語がたくさんあることに気づかされます。
分かりやすく、そしてクスっと笑えるやりとりがたくさんあって、知的好奇心を刺激されながら癒されてしまうという不思議な雰囲気のある本書。
母国語を美しく正しく話せる、たしなみある大人の女性を目指すためにも、癒されつつ読んでみてください!
書籍概要
タイトル:日本人が気づいていないちょっとヘンな日本語 (日本語再発見BOOK)
著者:デイビッド・セイン、長尾昭子 発売日:2012年12月19日
発行:アスコム 価格:1,050円
著者略歴
デイビッド・セイン
アメリカ出身。英会話学校経営、翻訳、英語書籍・教材制作などを行うクリエーター集団「エートゥーゼット」の代表。これまで累計350万部の著作を刊行してきた英語本のベストセラー著者。日本で30年以上の豊富な英語教授経験を持ち、これまで教えてきた日本人生徒数は数万人に及ぶ
長尾昭子(ナガオアキコ)
公益社団法人国際日本語普及協会(AJALT、文化庁所管の外国人への日本語普及・教育機関)講師。慶応大学卒。欧米人のビジネスパーソンや外交官の間で大人気の教師で、教科書作成や日本語教師向けの雑誌への連載執筆の実績多数あり