【毒舌独女】ハンカチ王子、斎藤佑樹の行く末
2006年夏の甲子園から続く、「佑ちゃんフィーバー」は、留まることを知らない。
丹精な顔立ちに清潔感あふれるスタイル。
早稲田卒の礼儀正しい好青年。
そんな佑ちゃんに、イニシエ乙女たちはメロメロ。
斎藤佑樹を、ヨン様や氷川きよしと見詰めるのと同じような眼差しで見詰め、
ちょっとしゃがれた黄色い声で応援をする。
ファンが増えれば増える程、アンチも沸いてくるのが、人気者の定め。
……私はどちらかというと、アンチ寄り。
だって、スポーツ選手なのに、男臭さが足りないじゃない。
妙な清潔感が、何か不気味。
ハンカチで汗を拭う余裕があるなら、もっと闘志を見せろよ、と言いたくなる。
それに、言動がいちいち計算されていそう。
イマドキのヤングっぽく無い。
2010年の新語・流行語大賞に選ばれた、早慶優勝決定戦でのヒーローインタビューは最たるものだ。
「いろんな人から斎藤は何か持ってると言われ続けてきました。
今日、何を持っているのか確信しました。それは、仲間です」
(2010年11月3日)
ケッ
一昔前の青春ドラマのセリフみたい。
お尻がむず痒くなるわ。
こう言うとイニシエ乙女たちにウケると判っていて、わざとやっている印象を受ける。
何でも計算、スマートにやってのける、こういうタイプは私の好みじゃ無い。
あと、何か勘違いしてないか、というコメントも出している。
北海道日本ハムファイターズに入団が決定し、東京ヤクルトスワローズとの練習試合前のインタビューで、こう言った。
「打たれて学びたいなという部分もある」(2月17日インタビュー)
おい。何、抜かしとんねん。
これが芸人なら、「舞台ですべって学びたい」と言っているようなモン。
すべるのを前提に舞台に立つバカは、いない。
すべらないよう、当日までしっかりお稽古を積んでこそ、プロの芸人。
これは、野球選手であっても同じ。
基本中の基本だ。
いくら「学びたい」という言葉を使ったとしても、新人が言うことじゃあ無い。
もしかすると、
打たれた時の言い訳の為、先手を打ったのかも知れないが、それでも言うべきことでは無い。
あー、可愛くない、可愛くない。
しかし、彼が打ち立てたアマチュア野球での功績は、認めざるを得ない。
また、それまで野球に関心の無かった層を球場に足を運ばせる集客力も、素晴らしい。
人が動くということは、お金も動くという意味。
彼にそれだけの経済効果があるからこそ、マスコミもこぞって彼を持ち上げる。
気になるのは、プロ野球選手・斎藤佑樹が「金にならない」と判断された時。
恐らく、マスコミは手のひらを返したように、彼を叩くだろう。
ファン離れが加速するような報道もする筈。
報道もビジネスの一つ。
経済効果が薄いモノに対し、報道はなさない。
斎藤佑樹が潰れたら、彼に代わるスターを見つけてくる。
そうなった時、彼がどうなってしまうのか、少し心配だ。
彼の扱いは、普通のルーキーとは違う。
10勝して当たり前、新人賞も取って当たり前、という風潮。
それだけの実力があるかは関係ナシ。
期待に添えと言わんばかりの報道と、イニシエ乙女たちの応援。
これは、あまりにも酷。
彼は、ただの一人の新人野球選手。
青春ドラマのスターに非ず。
そろそろ、彼を「スター」扱いするのは止めにし、普通の「プロ」の選手として見てやってはどうだろうか。
野球選手として、正当な評価を下してやるのが、彼の為である。
今のままでは実像の無い「ゴーストフィーバー」。
実力を伴ってこそ、初めて、スター選手と呼ばれると、彼自身は当然のこと、イニシエ乙女も知るべきだ。
それが、日本プロ野球界を盛り上げることにも繫がるだろう。
コラムニスト/コンテンツライター
広島県安芸郡出身、大阪府高槻市在住。恋愛記事から豆知識、果てはビジネス文書まで幅広く執筆するライター。古典芸能に携わっていた経験もあり、日本文化について少し詳しい。文芸春秋『週刊文春』に載せてもらえたのが人生の自慢。
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