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【毒舌独女】ワケ有りカップル観察の会

ラーメン屋は良い。
呑みのフルコースが堪能出来る。(※フルコース:つきだしからシメのラーメンまで)

一人呑みをするなら、ラーメン屋に限る。

それに、人間観察にも適している。

客の多くが、お一人サマ。
どのような事情でお一人サマなのか想像を巡らせるだけで、ビールが進む。

お一人サマに混じって、時折、カップルが入店してくると、更にビールが進む。
数多い飲食店の中で、何故、ラーメン屋をデートコースに選んだのか興味津々。

カウンター席で隣と密着していても不自然じゃないから、デートコースに入れたのかな。 ヤングカップルなら、お財布事情なのかな。

こんな分析を一人でしては、生中、もう一杯!

しかし、中年カップルがラーメン屋でデートとなると、謎が深まる

その謎を脳内で解き明かしていくのが、とても楽しい。

まぁ、大体が夫婦なんだけどね。
夕飯をラーメンにしようって。ツマラン。

けれど、ちゃんと、ワケ有りカップルも混じっている。

ワケ有りカップルは、ラーメン屋でなら、一目で判る。
妙にラブラブか、妙な距離感があるから。

ワケ有り決定打は、会話の内容だ。

周囲が皆お一人サマだと、聞いていないと思うんだろうね。

黙々と食すのがラーメン。
そこに言葉が飛び出す時点で、他の客の好奇心の的になるとは理解していない模様。

ポロポロと言っちゃいけないキーワードが出てくる、出てくる。うはは

嫁にGPSを付けられそうになった」とか

「奥さんとの離婚協議、進んでる?」とか

聞こえていないと考えているのは、ご本人たちだけ。
他の客の耳はダンボ。

でも、オトナなので、「聞いていませんよー」をアピール。
ラーメンを食べ終わっているのに、水を何杯も飲んだり、お品書きをしげしげと眺めたり。

こういう人たちを観察するのも、一興。うふふ

先日、

十数年来の友人、ぽん太(仮名・当然女子)が、
とてもステキなワケ有りカップルとラーメン屋で遭遇したらしい。。

彼女もラーメン屋で人間観察をするクチ。
勿論、お一人サマで。

ぽん太が遭遇したワケ有りカップルは、小ざっぱりとしたスーツ姿の40代のお姉さんと、立派な身なりの50代のオジサマ。

お局OLと取引先の社長といった感じ。

お一人サマばかりの店内で、お姉さんが一人で喋り捲っていたとのこと。
そのお喋りの内容で、ワケ有りと断定。

お姉さんは、

「ねえ、今度の家族旅行、どこに行くの?」

何度も、オジサマに質問。
この「家族」とは、本妻のいる家庭を指す。

オジサマの答えは、何だろう。

「教えたら、前に旅行先に来たじゃないか…」

ぶげっ!

ステキだ!ステキなワケ有りカップルだ!
そんなコトをされても、別れてないのが、とてもステキだ!

ぽん太は「お姉さんに別れを切り出したら、家庭崩壊させられると予想しているから、保険の為に付き合っている」と分析した。

なるほど。
家庭崩壊だなんて、赤子の手を捻るようなもん。

このお姉さん、ただ怖いだけじゃなく、可愛らしいトコもあったらしい。

「ここの割引券、この子に貰ったの♪何回も!

と若い店員を指差し、アタシは男にモテると、オジサマの嫉妬を煽ったみたい。

ちなみに、ぽん太も同じ店員から割引券を何回も貰っている

お姉さん、残念でした!

あー、やだねぇ。
あんな40代にはなりたくないねぇ。

と、言いながら、実のところ、私たちも危機感を覚えている。

もう、アラサーとは呼んでもらえない年齢

恋愛対象になりうる男は、既婚者か変人のどちらか。

どっちと付き合っても、私たちのような連中の娯楽にされてしまう。

このまま、人生お一人サマである方が、安全かも知れない

なーんて、やけっぱちに二人で笑った。

旭堂花鱗

コラムニスト/コンテンツライター

広島県安芸郡出身、大阪府高槻市在住。恋愛記事から豆知識、果てはビジネス文書まで幅広く執筆するライター。古典芸能に携わっていた経験もあり、日本文化について少し詳しい。文芸春秋『週刊文春』に載せてもらえたのが人生の自慢。

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