【毒舌独女】アラサー女子の子ども
国勢調査で虚偽の報告をすると、統計法により罰金刑に処せられる。
知っていた。
それでも、昨年行われた国勢調査の報告で、私は嘘を吐いてしまった。
愛娘のきくを、家族欄に記入しなかったのだ。
それもやむを得まい…。
何故なら、きくちゃんはネコなのです…。
あー、本当のコトを書きたかったよ。
きくちゃんが「おかあしゃぁん」と私を呼ぶ度に、胸が痛むね。
国勢調査で堂々と「きくちゃんは家族です!」と書けたら良いのに。
しかし、ネコを国勢調査に記入するのも良し悪しのようで、米国マサチューセッツ州で、国勢調査の家族欄にネコの名前を書いた所、陪審員の召喚状が届くという椿事が起きた。
一応、世帯主との続き柄は「ペット」にしてあったらしい。
なのに、陪審員になってくださいと言われた。
ネコが裁判所で、「有罪」か「無罪」かを決める時代になったのか。
世界の最先端を行く米国は、一味違うなぁ。
もし、ウチのきくちゃんに裁判員出頭命令が出たら、全力で断るけど。
診断書貰って、病気で行けませんってコトにする。絶対、行かさない。
だって、いくら罪人とはいえ、人に「死ね」と言う、死刑判決を下さねばならない可能性があるじゃないか。
可愛い可愛いきくちゃんに、そんなコトはさせたくないの。
綺麗なモノだけ目にしてもらいたいの。
その為なら、おかあしゃぁんは何でもするよっ!
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私と同じような、ネコバカ、イヌバカの女子は多い筈。
これを見て、動物嫌いの連中は嘲笑う。
「だから、結婚出来ない」のだと。
なるほど、一理ある。
面倒な男と窮屈な思いをして一緒に居るより、動物と過ごす方が精神衛生上、良いもんね。
ついでに言うと、動物嫌いのオマエらと一緒に居るより、動物と過ごす方が良い。
動物は愛情をかけた分だけ、愛情を返してくれる。
人間では、中々、こうはいかない。
笑顔には笑顔だよね。ねぇ、きくちゃん♪
そんなコンナの内に、婚期を逃し、女子街道まっしぐら。
知らん間に、同級生には、人間の子どもが二人や三人出来ている。
「子どもって良いものよ。あ、子どもが居ないから、母親の気持ちが判らないかぁ」
そんな無神経な言葉をかけてくる、既女も出てくる。
コイツは自分の方が優れていると証明する為だけに、子どもをダシに使っているので無視。
ただ、少し考える。
母親の気持ち、というヤツだ。
正直、判らない。
まぁ、自分以外の人間の気持ちを、完全に理解するのは不可能。
これに、子どもの有無は関係無い。
想像力の豊かさが重要。
だが、確かに、子どもが居ることにより、母親に思いを馳せる時間は増える。
私は、その「子ども」が人間であっても、動物であっても同じだと考えている。
我が子が病気になると髪を振り乱して病院に駆け込み、徹夜で看病。
我が子が愛らしいしぐさをすると微笑む。
戸籍上の子どもが居なくても、私は母親業をしているつもりだ。
母親業をしながら、母を思う。
意思疎通の難しい子どもを、ここまで大きくしてくれて有難う、とか。
毎日毎食、ご飯を作ってくれて有難う、とか。
仕事が大変なのに、絵本を読んでくれたり、勉強を見てくれたりしてくれて有難う、とか。
私の年齢が、そう思わせているのだろうか。
それとも、我が家の歴代ネコの中で一番手がかかっているきくちゃんが、そう思わせているのだろうか。
動物を子どもにしている女子は、彼らを通して母親に思いを馳せてみるのはどうだろう。
母親の有難さがよく判るようになる。
そんでもって、「子どもがいないから判らないよねー」という既女を鼻で笑ってやれ。
胸を張って、「ウチの子から学ばせてもらっている」と宣言するのだ!
女子だって、子どもは持てる。
学費がかからない分、お得な子どもが。医療費はすごいけど…。
コラムニスト/コンテンツライター
広島県安芸郡出身、大阪府高槻市在住。恋愛記事から豆知識、果てはビジネス文書まで幅広く執筆するライター。古典芸能に携わっていた経験もあり、日本文化について少し詳しい。文芸春秋『週刊文春』に載せてもらえたのが人生の自慢。
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