【毒舌独女】鍋奉行失脚
            てーへんだ、てーへんだぁ!! 
今年は、鍋奉行様のご活躍の場が無くなるぞ! 
てーへんだぁ! 
アク代官様の出番も失われるやも知れんぞ! 
待ち奉行や待ち娘の悲しみは如何ばかりか。 
なんせ、白菜一玉800円! 
いや、マジで大変。鍋の危機よ。 
今年の猛暑のお陰で、野菜が高騰しまくっている。レタスは例年比の4倍。 
農林水産省によると、指定野菜14品目は前年比の155%とのコト。 
14品目の内訳は、どこの家の冷蔵庫や貯蔵庫にもある野菜を想像してもらえばいい。 
まったく、夏場は夏場でクーラー代をガンガン払わせておいて、今度は白菜かよ。チッ 
地球温暖化は家計に悪いと知る。 
シロクマの棲家だけの問題では無い。 
白菜の無い鍋は鍋じゃないと思う。かといって、冬場の楽しみ、鍋を諦めるのは嫌。 
美味しい鍋が食べたいよぉ…。 
こんな国民の声を反映してか、鍋について日本政府は考えてくれた。サンキュー 
農水省の中に、野菜出荷安定対策本部を設置したのだ。 
といっても、何をしているのか不明。 
判っているのは、野菜だけの対策本部を設置するのは、史上初ってコト。 
それだけ、今年の野菜の不作は深刻らしい。 
日本は食料自給率が低いといわれているけれど、野菜に関してはほぼ100%。 
だからこそ、オオゴトなのだ。 
農産業や畜産業、水産業に携わっていなければ、中々、見えてこない日本の食糧事情。 
一般人は値段でしか、危機感を覚えられないのも問題かも知れない。 
日本の鍋を救う為、私に何が出来るだろう。 
とりあえず、鍋奉行はマジで失脚してくれ。日本の鍋の為に。 
鍋奉行は、普段、料理をしない男が成りたがる場合が多い。 
コッチは日常的に行っているから、どの順番に入れると火の通りが良いか知っている。 
なのに、鍋奉行ってのは、根拠の無い食材の投入法を指示する。 
「あ、鶏肉はアクが出るから、沸騰してからな」 (ある鍋奉行サマのお言葉) 
残念でした。鶏肉は水から炊いた方が、アクは出ないんですよー。 
って、わざわざアクを作って、それをすくいたいんか?オマエはアク代官にもなりたいのか。 
ちなみに、「アク代官」というのは、小沢一郎センセイに非ず。アクをすくう人を指す。 
時々、良いスープになっているのに、それも捨ててしまうアク代官。迷惑な。 
鍋奉行は「アク」というキーワードがお気に入り。とにかく、アクを目の敵にする。 
でも、アクが出やすい食材は理解していない。 
春菊は意外とアクが出る。アクを出すのは、肉類だけじゃないよ。 
なのに、春菊を一気に鍋に放り込む。そして、緑色のアクを他の食材の所為にする。 
「この色のアクは、魚が古いからだ!」 (ある鍋奉行サマのお言葉) 
魚が気の毒。捕らわれ、食われ、更に謂れの無い悪口を吹き込まれるなんて…。 
私は判っているよ。魚はそんなにアクは出ないって。良い出汁が出るのにね。 
鍋奉行はこの「出汁」というキーワードもお気に入り。出汁の為と、出汁昆布を鍋の底に放置。 
これも「アク」の原因になり、エグ味も出るけど、鍋奉行に説いた所で馬の耳に念仏。 
「ハマグリの殻はダシが出るから、身を食べたら、殻は戻して」  
(ある鍋奉行サマのお言葉) 
 殻は殻だー!どこでそんな迷信を覚えたんだ!? 
貝殻の成分はカルシウム。旨味成分は含まれていない。でも、鍋奉行には通用しない。 
みんなが集まる鍋で良いトコ見せたいんだろうね、鍋奉行ってヤツは。 
同じく、みんなが集まる料理といえば、バーベキュー。男が張り切るイベント。これは許せる。 
しかし、バーベキューと鍋は違う。食材のハーモニーだ。 
そう言いたいんだけど、鍋奉行は大抵、他のメンバーが意見出来ない人物。上司とか先輩とか。 
鍋奉行をパワハラの一種と認定してくれ。それが、日本の鍋を救う第一歩だ。 
コラムニスト/コンテンツライター
広島県安芸郡出身、大阪府高槻市在住。恋愛記事から豆知識、果てはビジネス文書まで幅広く執筆するライター。古典芸能に携わっていた経験もあり、日本文化について少し詳しい。文芸春秋『週刊文春』に載せてもらえたのが人生の自慢。
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